2003 Fiscal Year Annual Research Report
嗅細胞の匂い情報変換にかかわる細胞分子ネットワークの解析
Project/Area Number |
14380376
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
倉橋 隆 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (90225251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 裕子 大阪大学, 生命機能研究科, 助手 (10324823)
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Keywords | 嗅覚 / シグナルトランスダクション / セカンドメッセンジャー / cAMP / IP_3 / ケージド化合物 / パッチクランプ法 / エッセンシャルオイル |
Research Abstract |
嗅覚情報変換は、匂い分子が嗅繊毛上にあるリセプタ蛋白と結合し、細胞内に存在しているG蛋白質・アデニレートシクラーゼが順に活性化することによって、細胞内のATPからcAMPが生成され、cAMpがセカンドメッセンジャーとして働くことが広く知られていた。一方、ある種の匂い物質を投与した時はIP_3がセカンドメッセンジャーであるという報告もなされていた。その真偽を確かめるために、cAMPを生じさせる匂い物質(シネオール)とIP_3を生じさせると言われている匂い物質(リラール・リリアール)を1つの細胞に投与し、電気生理学的特性を比較検討した結果、両者の電流特性(電流波形・逆転電位・IV曲線・濃度依存性・順応・回復機構)が非常に類似し、交差順応が観察されたことから、両者は同一のカスケードを用いていると結論付けた(Takeuchi & Kurahashi,2003a)。更に、実際のセカンドメッセンジャーを特定するため、ケージド化合物を用いて、細胞内のcAMP濃度を自由に制卸して得られたcAMP電流とIP3匂い物質によって生じた電流の電気生理学的特性を比較すると、両者の性質の一致を見た。IP_3匂い物質に対する応答電流とcAMP電流との間に交差順応を確認し、両者間に相互関係があることや、IP_3匂い物質で生じた電流がcAMPを加算することで非線形な増幅を示したことから、IP_3匂い物質投与時にもcAMPが仲介している可能性を強く示唆した(Takeuchi & Kurahashi,2003b)。また、単一嗅細胞において、人工的に抽出した単体の香料と天然の複合の香りの受容メカニズムの差異の有無を調べた結果、両者の電気生理学的特性は共通し、天然の香りが嗅細胞を興奮させる過程は個々のコンポーネントの単純線形和であることを示した(Takeuchi, Moriya & Kurahashi,2003)。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] HIROKO TAKEUCHI: "CROSS-ADAPTATION BETWEEN OLFACTORY RESPONSES INDUCED BY TWO SUBGROUPS OF ODORANT MOLECULES"The Journal of General Physiology. Volume122 Number3. 255-264 (2003)
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[Publications] HIROKO TAKEUCHI: "IDENTIFICATION OF SECOND MESSENGER MEDIATING SIGNAL TRANSDUCTION IN THE OLFACTORY RECEPTOR CELL"The Journal of General Physiology. Volume122 Number5. 557-567 (2003)
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[Publications] 竹内裕子: "ユーカリ・エッセンシャルオイルはどのように嗅覚受容細胞を興奮させるか"AROMA RESEARCH NO.16. Volume4 Number4. 336-343 (2003)