2003 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子デリバリーのためのインテリジェント高分子ミセル型ナノカプセルの創製
Project/Area Number |
14380391
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片岡 一則 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00130245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斯波 真理子 国立循環器病センター研究所, 室長(研究職) (70271575)
山崎 裕一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (00322678)
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Keywords | 高分子ミセル / 遺伝子デリバリー / ブロック共重合体 / ナノカプセル / DNA / 生体適合性 / ポリエチレングリコール |
Research Abstract |
本研究は、内核に遺伝子DNAを保持し、かつ表層部に標的細胞による認識と取り込みを促進させるためのパイロット分子を結合させた生体適合型高分子ナノカプセル(高分子ミセル)を創製し、その新規遺伝子ベクターとしての有用性を明らかにすることを目的として検討を行う。本年度は、以下の2項目を中心に検討した。 (1)表層にリガンド分子を装着した高分子ミセル型ベクターの創製を目指し、α-末端に各種のパイロット分子を結合可能なブロック共重合体の新規合成ルートの確立を行った。ブロック共重合体の合成は数種類の化学反応による修飾を段階毎に重ねていかなければならず、この制約によりリガンドを担持したブロック共重合体の合成は一般には困難を伴うものであったが、本年度は既に確立していた合成経路を抜本的に見直し、各々の反応操作が互いに干渉しない新しい経路を探索することにより、リガンド分子が導入されたブロック共重合体を調整することに成功した。具体的には、ベンジルアセタール基とアミノ基を反応性官能基として有するヘテロ二感応性PECを合成し、このアミノ基末端をボリカチオン連鎖の重合開始点としてブロック共通合体が調整され得る。その後、ベンジルアセタール基を酸性条件下でリガンドとの結合が可能な官能基であるアルデヒド基に置換し、リガンド分子であるラクトースを導入した。その後は、アルカリ条件下でポリカチオン連鎖の脱保護を行い、リガンド導入型ブロック共重合体を調整した。 (2)ジスルフィド結合導入系に関しては、各種細胞における遺伝子発現効率を系統的に評価し、本システムの遺伝子治療における有用性を明らかとした。非ウイルス性遺伝子ベクターは、血中送達時においてはDNAを高度に凝縮させ核酸分解酵素耐性を向上させるとともに非性異吸着を妨げることにより内包DNAの血中安定性を向上させ、細胞内においては複合体の解離によりDNAを放出し遺伝子を発現させる、相反する機能を持ち合わせていなければならない。本研究では、これらの相反する機能を遺伝子ベクターに担持させるにあたり、PEG-PLLブロック共通合体に、ミセル形成時に架橋構造を生起するチオール基を導入することにより、高分子ミセル内核にジスルフィド結合による架橋構造を生起させ、高分子ミセル型遺伝子ベクターの可逆的安定化を図ることに成功した。架橋ミセルは血中送達時においては架橋形成によりその構造が安定化されるが、細胞内還元環境下ではジスルフィド結合の開裂によりミセルが不安定化され、生体内環境に応じて内包DNAの放出制御か可能なインテリジェントベクターとして機能していることを明らかとした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Itaka, K., Kataoka, K., et al.: "In situ single cell observation by fluorescence resonance energy transfer reveals fast intra-cytoplasmic delivery and easy release of plasmid DNA complexed with linear polyethylenimine"J.Gene Med. 6・1. 76-84 (2004)
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[Publications] Nishiyama, N., Kataoka, K., et al.: "Novel Cisplatin-Incorporated Polymeric Micelles Can Eradicate Solid Tumors in Mice"Cancer Research. 63・24. 8977-8983 (2003)
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[Publications] Zhang, G.-D., Kataoka, K., et al.: "Polyion complex micelles entrapping cationic dendrimer porphyrin : effective photosensitizer for photodynamic therapy of cancer"J.Controlled Release. 93・2. 141-150 (2003)
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[Publications] Itaka, K., Kataoka, K., et al.: "Polyion complex micelles from plasmid DNA and poly(ethylene glycol)-poly(L-lysine) block copolymer as serum-tolerable polyplex system : Physicochemical properties of micelles relevant to gene transfection efficiency"Biomaterials. 24・24. 4495-4506 (2003)
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[Publications] Bae, Y.S., Kataoka, K., et al.: "Design of environment-sensitive supramolecular assemblies for intracellular drug delivery: Polymeric micelles that are responsive to intracellular pH change"Angew.Chem., Int.Ed.. 42・38. 4640-4643 (2003)
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[Publications] Zhang, G.-D., Kataoka, K., et al.: "pH-sensitive assembly of light-harvesting dendrimer zinc porphyrin hearing periphery groups of primary amine with poly(ethylene glycol)-b-poly(aspartic acid) in aqueous solution"Macromolecules. 36・4. 1304-1309 (2003)