2004 Fiscal Year Annual Research Report
流動的な生体膜レセプターと多価相互作用する超分子リガンドの設計
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14380397
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
由井 伸彦 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 教授 (70182665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 亨 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (10301201)
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Keywords | ポリロタキサン / シクロデキストリン / 多価相互作用 / 軟骨細胞 / 骨芽細胞 / マルトース / 分子運動性 / 分解制御 |
Research Abstract |
本研究では、多数のα-シクロデキストリン(α-CD)の空洞部を貫通したポリエチレングリコール(PEG)の両末端に嵩高い生分解性基を導入した串刺し状高分子(生分解性ポリロタキサン)を基本骨格として、多数のα-CD水酸基に種々のリガンドを導入し、α-CDのPEG鎖上での位置が自由に変化する超分子の特徴から、細胞表面レセプター発現・分布の時間変動に同調してレセプターとの結合を持続する新しい生体材料を設計することを目的としている。本年度は、組織再生用スキャフォールドとしての生分解性ポリロタキサン架橋体を評価するため、軟骨、骨芽細胞との相互作用を促進するための化学修飾、そしてその分解制御に関する検討を行った。 加水分解性ポリロタキサン(PRXゲル)を架橋したヒドロゲルを調製し、多孔質化、そしてアミノ化を行い、軟骨細胞培養におけるPRXゲルの分解と軟骨細胞増殖、そして同種ラット皮下移植時の分解と炎症性について検討したところ、アミノ化によってゲルの分解が遅延し、細胞増殖率が向上した。培養軟骨細胞含有PRXゲルを同種ラット移植したところ、56日後にゲルが完全に消失していた。このことから、軟骨細胞培養と分解制御を独立に制御可能なスキャフォールド設計を推進することが可能となった。さらにこの多孔質化PRXゲルの特徴にヒドロキシアパタイト(HAp)の骨芽細胞接着性を付与したPRXゲル-HApハイブリッド(PRX-HAp)を調製し、ラット骨芽細胞の骨形成能を評価したところ、骨芽細胞が良く接着しており、細胞が偽足を伸展している様子も観察された。ラット皮下に移植後5週間で摘出したサンプルの組織切片を光学顕微鏡で観察した結果,PRX-HApの辺縁部にて移植骨芽細胞による骨様組織の形成が観察された。従って、PRX-HApが骨芽細胞移植時のScaffoldとして有用であることが示唆された。 また、昨年に引き続き、マルトース導入ポリロタキサンの分子運動性と糖鎖認識との関連を明らかにするため、NMR解析からCDの運動性がレクチン(ConA)認識に及ぼす影響について明らかにした。
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