Research Abstract |
新たな循環動態指標として注目されているWave Intensity (WI)からは,心収縮性を表す指標,拡張特性を表す指標,末梢からの反射波の影響を表す指標,等を定義できる.従って,病的心臓の動作状態,末梢循環(脳循環も含む)の病的状態,あるいはこれらの干渉の解析において,WIは他の指標にはみられない有用性を発揮することが期待される.我々の研究目的は,新しい循環動態指標であるWIを超音波法により非侵襲的に測定する装置を実用化し,これを臨床に応用し,脳循環も含めた循環系疾患の病態の解析,治療効果の判定,予後の評価等に役立てることである. WI測定システムは,これまでのアロカ社との協同開発により,市販用実用機(SSD 6500)がほぼ完成した.この実用機には,WIの前進波成分と反射波成分を求めるソフトや頸動脈の局所の脈波速度を計算するソフトを新たに組み込んだ.本年度はこの実用機の性能評価を東京女子医大(各種心疾患,高血圧),ウェールズ大(健常例),ロンドン大インペリアル・カレッジ(冠疾患)およびベルリン心臓センター(拡張型心筋症)で行った. 評価の結果,目的とする性能と有用性を発揮することが明らかとなった.これまで,評価に協力したすべてのグループを,2005年5月20日〜22日に開催された第78回日本超音波医学会学術集会を機に東京に招集し,得られたデータを中心にして,シンポジウムを開催した.
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