2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14390011
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岡ノ谷 一夫 千葉大学, 文学部, 助教授 (30211121)
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Keywords | ジュウシマツ / コシジロキンパラ / 遺伝 / 文化 / 歌制御神経核 / 大脳 / マイクロサテライトDNA |
Research Abstract |
ジュウシマツは東南アジアに生息する野鳥であるコシジロキンパラを、日本の大名が245年前に輸入し、家禽化したものである。これまでの私たちの研究で、コシジロキンパラの歌は定型的であるが、ジュウシマツの歌は有限状態文法で表される複雑さを持っており、高次歌制御神経核NIfの破壊により、複雑な歌が単純化することがわかっている。本研究は、ジュウシマツとコシジロキンパラを比較しながら、複雑な歌の形成過程において文化と遺伝がどのように相互作用してきたかを解明することを目的とした。今年度は以下の4点について、成果を得た。 これらの結果をふまえ、遺伝と文化の相互作用のについてこの系を用いてさらなる検討を重ねる必要がある。 1.DNA指紋法による親子判定技術が確立した。9つのマイクロサテライトDNAを使って、親性の85%以上を確定することができた。 2.ジュウシマツに育てさせたコシジロキンパラのオスは、極めて不安定な遷移構造の歌をうたう。しかしこうしたトリをコシジロキンパラの集団の中に入れると、数日のうちに遷移が単純化し、線形な歌になる。 3.ジュウシマツにおいては、歌の複雑さは、体重と有意に相関する。ひとはらのオスの数が多いほど、歌が複雑になる傾向がある。 4.ジュウシマツとコシジロキンパラでは、その歌の複雑さの違いにもかかわらず、歌制御神経核(HVC, RA, X, MAN)の体積には有意な種差がなかった。歌の違いを作っているのは、単純に歌制御系の体積の違いではないことから、分子レベルでの探索が必要であることがわかった。
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Research Products
(3 results)