2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14390017
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
吉田 ゆり子 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (50196888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂根 嘉弘 広島大学, 大学院・社会科学研究科, 教授 (00183046)
谷本 雅之 東京大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (10197535)
吉田 伸之 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (40092374)
後藤 雅知 千葉大学, 教育学部, 助教授 (50302518)
志村 洋 関西学院大学, 文学部, 助教授 (90272434)
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Keywords | 地域社会 / 兵農分離 / 被官・地下 / 小作制度 / 小経営 / 身分 / 城下町 / 中馬 |
Research Abstract |
本プロジェクトの最終年度に当たり、研究の総括に向けてこれまで収集した史資料の分析をすすめるとともに、手つかずの膨大な史料群が数多く伝存されていることから、今後も本プロジェクトに掲げた研究目的に沿って、史料収集と研究を行うために、史料の所在調査と史資料収集を継続した。実践的には、飯田市歴史研究所との協同関係を構築し、本研究を継続、発展させる体制づくりを行いながら、「研究目的」で掲げた(1)地域社会の形成と構造分析-開発と定住、社会の機構-、(2)特産地の形成と生産基盤に関する検討-榑木・杣と労働組織-、(3)小農経営と土地所有-地主・小作関係に注目して-、(4)政治意識と文化形成-思想・教育・文化-という4つの切り口に沿って、とくに(1)と(3)に比重をおくことにした。 (1)のために、16-17世紀の在地社会の変化が明らかになる史料として、下伊那郡阿南町の佐々木忠幸家、原照夫家、村沢紋雄家の調査を行い、写真撮影による史料収集をおこなった。とくに佐々木家は、中世に千木の郷主として下条氏に仕え、兵農分離の後に千木の名主ばかりでなく下条領の千木組大庄屋を勤めた家で、多数の古文書が伝えられているにもかかわらず、目録も作成されていないため、現状記録・目録作成作業を開始し、今後も継続的におこなうことにした。その他、坂部郷主の家譜である『熊谷家伝記』が作成された坂部・向方などの天竜村地域の史料収集のため、長野県歴史館所蔵の写真資料を収集した。また、2004年度から継続調査をおこなっていた南山郷の中山和茂家の現状記録・目録作成・マイクロ撮影による史料収集を終え、報告書に掲載する予定である。さらに、関・下条・武田氏と仕え、近世には百姓化し浪合村名主となった千葉一悳家文書のマイクロ撮影を行った。その他、城下町飯田の社会経済構造を明らかにするために、飯田市歴史研究所所蔵の写真史料を収集し、市場に関する考察を深めた。(3)に関わって、上伊那・下伊那を対象に明治-大正期の「刈分け小作」慣行に関する実態を分析するとともに、松尾村森本家の小作人の動向を追跡するために、土地台帳・戸籍・小作人帳の収集をおこなった。これら(3)に関わる研究成果は、報告書に掲載する予定である。 以上、本プロジェクトは中世-近世-近代の膨大な地方文書を調査・収集しながらの研究活動であり、実質的な成果をあげたと考えている。但し、史料が膨大に存在するため、3年間の研究では不十分であり、今後継続的に調査・研究を続け、本プロジェクトの成果を論文集として刊行することにしている。
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Research Products
(7 results)