2002 Fiscal Year Annual Research Report
イネに細胞内共生する2本鎖RNAレプリコンの生存戦略
Project/Area Number |
14390019
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
福原 敏行 東京農工大学, 農学部, 助教授 (90228924)
|
Keywords | イネ / 2本鎖RNA / RNAレプリコン / Endornavirus / ジーンサイレンシング / 紫紋羽病菌 / 生存戦略 / 細胞内共生 |
Research Abstract |
宿主植物細胞のウイルス防御(ジーンサイレンシング)機構においては、2本鎖RNA結合ドメインを含むタンパク質が重要な役割を担っていることが指摘されており、2本鎖RNAレプリコンの複製制御等にも、宿主因子として2本鎖RNA結合タンパク質が重要な役割を担っていることが考えられる。これまでに、6種の2本鎖RNA結合ドメイン持ったタンパク質をノースウエスタン法で同定し、この遺伝子を過剰発現した形質転換イネを作成するためのコンストラクトを作製した。今後この形質転換植物体のウイルス感受性、2本鎖RNAのコピー数、ジーンサィレンシング能等の表現型を解析する予定である。 高分子2本鎖RNAレプリコンは、イネだけでなく、ソラマメ、オオムギ、インゲンマメ、ヒョウタン等、単子葉、双子葉を問わず植物に広く存在する。しかしながら、イネとソラマメの2本鎖RNA以外は、塩基配列すら明らかにされていない。本年度は、ヒョウタン、ツルムラサキ、メロン等から、2本鎖RNAを単離、RdRp領域の塩基配列を決定、分子系統解析を行い、これらがイネ2本鎖RNAレプリコンと同様、Endornavirusに分類され得ることが分かった。また、紫紋羽病菌等の植物病原菌にも高分子2本鎖RNAが検出され、その中で、紫紋羽病菌(Helicobasidium monpa)V1369株の2本鎖RNAの一部塩基配列を決定したところ、イネ2本鎖RNAと相同な配列を有していた。すなわち、高分子2本鎖RNAレプリコン(Endornavirus)は、植物のみならず菌類にも分布する広範囲な宿主域を持つRNAレプリコンであることが示唆された。このようなユニークな性質を持つ高分子2本鎖RNAレプリコンを、ウイルスの新たな科(Endoviridae)、属(Endornavirus)に分類することを、International Committee on Taxonomy of Viruses (ICTV)に現在申請している。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Harada A., Fukuhara T., Takagi S.: "Plasma membrane H^+-ATPase under control of photosynthesis in Vallisneria leaves. II Presence of putative isogenes and a protein equipped with a C-terminal autoinhibitory domain"Planta. 214・6. 870-876 (2002)
-
[Publications] Muramatsu Y., Harada A., Ohwaki Y., Kasahara Y., Takagi T., Fukuhara T.: "Salt-tolerant ATPase activity in the plasma membrane of the marine angiosperm Zostera marina L"Plant and Cell Physiology. 43・10. 1137-1145 (2002)
-
[Publications] Koga R., Horiuchi H., Fukuhara T.: "Double-stranded RNA replicons associated with chloroplasts of a green alga, Bryopsis cinicola"Plant Molecular Biology. (印刷中). (2003)
-
[Publications] 福原敏行: "植物の細胞内に共生する2本鎖RNAレプリコン"化学と生物. 40・8. 500-502 (2002)