内部構造に着目したポーラスコンクリートの製造技術の体系化とその応用

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14390029
• Research Institution: Mie University
• Principal Investigator: 畑中 重光 三重大学, 工学部, 教授 (00183088)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 石黒 覚 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (30137244) ; 月岡 存 三重大学, 生物資源学部, 教授 (10024572) ; 谷川 恭雄 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (70023182) ; 三島 直生 三重大学, 工学部, 助手 (30335145) ; 湯浅 幸久 三重県科学技術振興センター, 工業研究部, 主幹研究員
• Keywords: ポーラスコンクリート / 内部空隙構造 / 再生骨材 / 吸音特性 / 圧縮強度 / 空隙率 / 流動特性 / 結合材

Research Abstract

本研究では、ポーラスコンクリートの内部構造に及ぼす諸要因の影響を明らかにすることにより、ポーラスコンクリートの製造技術の構築を試みている。また同時に、産業廃棄物の活用も含めた新規ポーラスコンクリートの開発も試みている。
本年度の研究成果をまとめると以下のようになる。
1.ポーラスコンクリートに関する文献調査
ポーラスコンクリートに対する廃棄物の利用に関する文献調査を行った。
2.内部構造に着目したポーラスコンクリートの圧縮強度特性
ポーラスコンクリートの圧縮強度-空隙率関係曲線に及ぼす結合材強度の影響に関する実験的な検討からは、同関係曲線が前年度に提案されている指数関数の強度軸切片の値を結合材強度とおいて近似できることを示した。粗骨材粒径が同関係曲線に及ぼす影響に関する実験的な検討からは、粗骨材粒径が大きくなるほど同関係曲線は高強度側にシフトする傾向を示し、その理由が結合材の垂れに伴う結合断面の変化にあることを明らかにした。以上の結果より、前年度の粗骨材強度の影響と併せて、ポーラスコンクリートの圧縮強度に及ぼす主要な影響要因に関する検討を終了できたといえる。
3.大粒径ポーラスコンクリートの製造
護岸や魚礁への適用を想定して、現在用いられているよりもさらに大径の空隙を確保した大粒径ポーラスコンクリートの製造方法に関する研究を行った。同ポーラスコンクリートに用いる大粒径の粗骨材としては、産業廃棄物であるコンクリートがらを用いた。その結果、大粒径粗骨材を層状に並べ、各層ごとに高強度結合材を吹付ける手法によって大粒径ポーラスコンクリートの製造が可能であること、および、大粒径ポーラスコンクリートの製造に適した結合材の流動性の範囲などが確認された。また、魚礁に対する適用性の確認も行われ、大粒径ポーラスコンクリートが伊勢エビやアワビといった生物の生息に有効であることが示された。

Research Products

• [Publications] 畑中重光: "再生骨材を用いたポーラスコンクリートの圧縮強度性状に関する実験的研究"日本建築学会構造系論文集. No.570. 31-36 (2003)
• [Publications] 内田寿久: "急斜面におけるポーラスコンクリート現場打ち全面透水性ブロック積み施工法の提案"ポーラスコンクリートの設計・施工法と最近の適用例に関するシンポジウム論文集. 43-48 (2003)
• [Publications] 前川明弘: "コンクリートがらを使用した大型ポーラスコンクリートの製造方法に関する基礎的研究"ポーラスコンクリートの設計・施工法と最近の適用例に関するシンポジウム論文集. 77-84 (2003)
• [Publications] 寺島貴根: "ポーラスコンクリートのランダム入射時の吸音性能に関する研究"ポーラスコンクリートの設計・施工法と最近の適用例に関するシンポジウム論文集. 91-98 (2003)
• [Publications] 石黒覚: "水面緑化基盤への軽量ポーラスコンクリートの適用"ポーラスコンクリートの設計・施工法と最近の適用例に関するシンポジウム論文集. 117-122 (2003)
• [Publications] 湯浅幸久: "地方自治体におけるポーラスコンクリートの利用状況の調査報告"ポーラスコンクリートの設計・施工法と最近の適用例に関するシンポジウム論文集. 157-162 (2003)
• [Publications] 三島直生: "大粒径コンクリートがらを使用したポーラスコンクリート施工に用いる結合材モルタルの流動性に関する基礎的研究"コンクリート工学年次論文集. Vol.25. 1151-1156 (2003)
• [Publications] 松本宏哉: "ポーラスコンクリートのフレッシュ性状評価に関する一提案"コンクリート工学年次論文集. Vol.25. 1211-1216 (2003)
• [Publications] 月岡存: "低処理再生骨材を用いた緑化コンクリートの屋外実験"農業土木学会大会講演要旨集. H15年度. 641-642 (2003)
• [Publications] 月岡存: "低処理再生骨材を用いたポーラスコンクリートの強度-空隙特性"農業土木学会京都支部研究発表会講演要旨集. 第60回. 100-101 (2003)
• [Publications] 前川明弘: "コンクリートがらを使用した大型ポーラスコンクリートの製造方法について(その1:魚礁に対する適用性と製造方法)"日本建築学会大会学術講演梗概集. A-1. 343-346 (2003)
• [Publications] 三島直生: "コンクリートがらを使用した大型ポーラスコンクリートの製造方法について(その2:多層吹付けのための結合材モルタルの流動性評価)"日本建築学会大会学術講演梗概集. A-1. 343-344 (2003)
• [Publications] 前川明弘: "大粒径ポーラスコンクリートの製造における吹付けモルタルの付着厚さに関する基礎的研究"日本建築学会東海支部研究報告集. 第42号. 65-68 (2004)
• [Publications] 畑中重光: "大粒径コンクリートがらを使用したポーラスコンクリート施工に用いる結合材モルタルの流動性に関する基礎的研究"三重大学地域共同センター・研究報告. No.11(印刷中). (2004)