2004 Fiscal Year Annual Research Report
新型電子・ポジトロンスペクトロメータによるレーザー超高密相対論場の研究
Project/Area Number |
14390033
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 和夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70171741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 米喜 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40093405)
兒玉 了祐 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80211902)
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Keywords | 高速電子 / 超高強度レーザー |
Research Abstract |
今回いただいた科研は、非常に有効に使用させていただけた。まず最初に感謝したい。超高強度レーザーによるターゲット照射という大変強力な電磁ノイズ環境で、照射スポットから発生する高速電子を正確に計測することの出来る電子スペクトロメータを開発した。エネルギー分解するために永久磁石を使用し、電磁ノイズフリーな計測を行うために、イメージングプレートを初めて採用した。イメージングプレートは、x線フィルムの100倍の感度があることから医療応用で、広く使われており、学術分野でもx線検出器として使用が広がっている。これを電子の検出器として採用し、イメージングプレートの電子のエネルギーに対する較正を我々が独自に、二種類の加速器からでる電子バンチビームを用いて実施した。較正は、1?数十メガエレクトロンボルトのエネルギー領域をカバーしており、現在超高強度レーザーを用いた表記相対論場から飛び出す電子のエネルギー領域に対応している。また、この電子スペクトロメータは、非常にハンドリングが容易で、検出に失敗が無く、ダイナミックレンジが4桁ほど確保でき、検出器は繰り返し使用が可能など多くの利点があるため、世界で注目を集めている。イギリスのラザフォード研究所では、いち早くこのスペクトロメータを採用して、超高強度レーザー実験に導入している。ロチェスター大学(アメリカ)でもこのスペクトロメータの導入を検討中である。(1)これを用いた相対論場の計測では、これら高速電子を用いた応用としてレーザー核融合の新手法「高速点火」方式の検証に必要なエネルギーを持つ高速電子(エネルギー1メガぼると以上)が、十分に存在することが実験で検証できた。(2)高速電子のスペクトル温度がレーザー強度の1/2乗に比例することが確認され、電子がレーザー光のポンデロトティブ力により加速されているとする理論的予測と一致した。(3)高速点火方式のモデル実験を実施し、実際高密度に爆縮された疑似燃料コアプラズマを外部の超高強度レーザーで瞬時に加熱する試みでは、実際超高強度レーザーから高い効率で、高速電子に変換され、コアと通過した電子が大きくコアプラズマに吸収されて、加熱に寄与していることが実験的に観測された。この実験は、高速点火方式手法が非常に有効であることの証明となり、世界のレーザー核融合主要研究拠点において、超高強度レーザーシステム建設の機運が一気に高まり、リヴァモア研究所(米)、ラザフォード研究所(英)、CEA(仏)、サンディア国立研究所(米)においてこうしたレーザーが建設に入った経緯がある。(4)さらに、相対論場から発生する高速電子を、デバイスを使って制御することができることがわかり、Nature誌に掲載され新しい、プラズマデバイスとして、高エネルギー密度科学の発展に貢献できる可能性を示した。
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Research Products
(12 results)