2003 Fiscal Year Annual Research Report
都市域の水環境汚染リスクの経済的評価法に関する研究
Project/Area Number |
14390044
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
萩原 清子 東京都立大学, 都市科学研究科, 教授 (00198649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 彰 流通科学大学, サービス産業学部, 教授 (20299126)
萩原 良巳 京都大学, 防災研究所, 教授 (00268567)
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Keywords | 水質リスク / エージェンシー理論 / リスク分担制度 / 事後的マネジメント / 情報の非対称性 / モラルハザード |
Research Abstract |
都市用水の水質について近年、発現経路の確定しにくい汚染やトリハロメタン、クリプトスポリジウム、内分泌撹乱物質(いわゆる環境ホルモン)等が都市用水供給において大きな問題となり、環境リスクのひとつとして都市用水供給における水質リスクを考慮することが必要となってきた。これらは、不確実性あるいは未知のリスクと捉えられるものであるが、このようなリスクに対しては事前対策としての高度浄水処理や消費者による回避行動がある。また、不確実かつ未知であるが故に、事故が発生してしまった後の事後的対策も考える必要がある。そこで、事後的リスクマネジメントの可能性について検討を行った。エージェンシー理論による保険の適用可能性の検討により、水道水質汚染リスクの事後的マネジメントとしては、補助金によるリスク分担制度を援用できる可能性が高いとの考察結果が得られた。ただし、補助金制度による資源配分の歪みも無視し得ない問題であることから、市場メカニズムによる効率性を享受することのできる保険制度の適用可能性について包括的な比較検討を行った上での選択であることが前提として必要である。たとえば、保険の適用可能性について、水道水の水質汚染に関するリスクだけでは小規模事業体にとっての市場可能性がないなどの理由で失敗するならば、環境リスク一般として、大気汚染や土壌汚染などと統合した保険制度を創設することで、リスクプールのメリットが働き保険料を低く設定することができる。それによって、情報の非対称性によるモラルハザードのインセンティブを減らすことができる可能性もある。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hagihara K., Hagihara Y.: "Marginal Willingness to Pay for Public Investment under Urban Environmental Risk : the Case of Municipal Water Use"Environment and Planning C : Government and Policy. (掲載予定). (2004)
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[Publications] 朝日ちさと, 萩原清子: "環境に由来する飲料本質汚染リスクの事後的マネジメント"日本地域学会第40回年次大会学術発表論文集. 247-254 (2003)
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[Publications] 坂本麻衣子, 萩原良巳: "水資源開発計画における開発と環境の集団コンフリクトに関するモデル分析"土木計画学研究・論文集. Vol.21,No.2. 295-304 (2003)
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[Publications] 西村和司, 萩原良巳他: "安全性による大都市水循環ネットワークの震災リスク"環境システム研究論文集. Vol.31. 83-89 (2003)
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[Publications] 萩原良巳, 萩原清子, 酒井彰他: "バングラデシュにおける飲料水のヒ素汚染に関する社会調査"京都大学防災研究所年報. (掲載予定). (2004)
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[Publications] Sato Y., Y.Hagihara: "Decision-making System under the Conflict Situation between Water Resources Development and Environmental Conservation"Proceedings of the 3^<rd> DPRI-IIASA International Symposium on Integrated Disaster Risk Management. (CD-ROM). (2003)
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[Publications] 萩原 清子 編著 萩原良巳他執筆: "環境の評価と意思決定"東京都立大学出版会(発行予定). (2004)