2003 Fiscal Year Annual Research Report
最終氷期以降の南極氷床融解期の高精度決定とその地球環境変動への評価に関する研究
Project/Area Number |
14390056
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
三浦 英樹 国立極地研究所, 研究所, 助手 (10271496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森脇 喜一 国立極地研究所, 研究系, 教授 (50033501)
横山 祐典 東京大学, 大学院・理学研究科, 講師 (10359648)
大河内 直彦 固体地球統合フロンティア研究システム, 研究員 (00281832)
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Keywords | 南極海 / 南極氷床 / 海底堆積物 / 融氷水 / 脂質化合物 / 海水準変動 / IRD / 気候変動 |
Research Abstract |
1990年代以降,グリーンランド氷床コアや北大西洋深海堆積物コアの解析から,グローバルな第四紀の気候変動のメカニズムの原因として,北半球氷床の変動が大きな役割を果たしてきたとする議論が行われてきた。一方,現在地球上で最大規模の氷床である南極氷床とその周辺の環境変動の研究については十分に明らかにされておらず,それが地球環境変動に果たしてきた役割は北半球氷床に比べてほとんど評価されていない。その最大の理由は,南極大陸周辺で採取される海底堆積物中に放射性年代測定を行うための炭酸カルシウムがほとんど含まれていないことと,その代替物質としての全有機炭素中に南極大陸起源以外の「古い」有機炭素が混入しているため,放射性炭素年代測定を行っても実際よりもかなり古い年代を示して,最終氷期以降の南極氷床変動の正確な編年を行うことを困難にしていたことにあった。この問題をふまえて、最終氷期以降の南極大陸周辺の海洋環境と南極氷床の融氷のタイミングを今までより正確に明らかにするために、南極海で採取された海底堆積物コアのうち、特にロス海周辺から南極半島付近から採取された試料のうち、試料の保存状況の良好なものを選び出した。このうち、ロス海のコアからは海洋プランクトン起源の脂質化合物を抽出し、現在はステロールの水素同位体比を測定する前処理を行った。この水素同位体比は融氷水に対してかなり敏感な指標となる。また、南極半島の多数のコアからは、肉眼による観察、粒度の分析および軟X線写真撮影によってIRDが最終氷期と考えられる層準に、何層も認められた。これらの結果から、南極氷床も最終氷期中に何度か融解したことが予想される。今後正確な年代測定を行うことで、グローバルな海水準変動や気候変動に与えた南極氷床の位置づけを明らかにできる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Takada, M., Tani, A., Miura, H., Moriwaki, K., Nagatomo, T.: "ESR dating of fossil shells in the Lutzow-Holm Bay region, East Antarctica."Quaternary Science Review. 22. 1323-1328 (2003)
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[Publications] Ohkouchi, N., Eglinton, T.I., Hayes, J.M.: "Radiocarbon dating of individual fatty acids as a tool for refining Antarctic margin sediment chronologies."Radiocarbon. 45. 17-24 (2003)
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[Publications] Pagani, M., Freeman, K., Ohkouchi, N., Caldeira, K.: "Comparison of water column [CO2aq] with sedimentary alkenone-based estimates : A test of the alkenone-CO2 proxy."Paleoceanography. PA000756 (2002)
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[Publications] Johnson, C.G., Frysinger, G.S., Nelson, R.K., Gaines, R.B., Ohkouchi, N., Reddy, C., Eglinton, T.I.: "Innovative methods for determining alkenone unsaturation ratios."Marine Chemistry. 83. 5-22 (2003)
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[Publications] Lambeck, K., Purcell, A., Johnston, P., Nakada, M., Yokoyama, Y.: "Water-load definition in the glacio-hydro-isostatic sea-level equation."Quaternary Science Review. 22. 309-318 (2003)
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[Publications] Yokoyama, Y., Caffee, M.W., Finkel, R.C., Southon, J.R., Nishizumi, K., Ryers: "Measurements of in-situ produced 14C in terrestrial rocks."Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B. In press. (2004)