2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの主観的味覚特性と味覚中枢の活動との相関に関する研究
Project/Area Number |
14390059
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
斉藤 幸子 独立行政法人産業技術総合研究所, 脳神経情報研究部門, グループ長 (30344138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 稔 日本大学, 医学部, 助教授 (30130420)
小川 尚 熊本大学, 医学部, 教授 (20040181)
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Keywords | 味 / 脳活動 / 脳磁場 / laterality / 鼓索神経 / 鼓索神経切除 / 味覚中枢 / 中枢伝達路 |
Research Abstract |
1.主観的味覚特性のうち、塩味の感覚的強度とヒトの大脳第一次味覚野との関係を脳磁場計測(MEG)によって調べた結果、感覚的強度はヒトの大脳第一次味覚野の活動強度と有意な相関を示したが、物理的濃度と大脳第一次味覚野の有意で高い相関に比較すると小さかった。このことは第一次味覚野の活動は感覚的強度よりも濃度の情報がより直接的に反映され、感覚的強度は濃度情報を反映する第一次味覚野の情報が修飾された結果と考えられる。これについては論文を投稿した。さらに、味質の違いと味覚中枢の活動の関係について、また、味覚強度に及ぼす嗅覚の影響について実験を開始した。 2.共同研究者の日本大学医学部耳鼻咽喉科池田助教授と同じ手法を用いて、研究室の職員を対象として、健常者の味覚閾値検査を行なった。附属病院の各診療科にお願いして味覚異常者の味覚検査をお願いしたが、意志の疎通が充分でなく、また、検査用機材の納品も遅れ得たため、今年度は調べる事はできなかった。この反省に基づき、熊本大学医学部内に分担者を中心とした味覚研究グループを発足させて、平成15年度には味覚異常者の味覚検査がスムーズに行えるようにするとともに、健常者・味覚異常者の客観的味覚検査をfMRIを用いて行なうために倫理委員会に申請した。 3.慢性中耳炎に対する手術の際、一側の鼓索神経を切断した7症例に対し、健常側の鼓索神経に対する味覚刺激を行い、中枢の味覚応答をMEGにより計測した。計測は症例当たり6-8回施行し、現在までのところ5症例で中枢における味応答を検出した。現在これらの症例で得られたMEGによる応答領域と応答側を検討しているところである。今後、数症例において、同様の検討を追加する予定である。
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Research Products
(1 results)