2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14390060
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森 望 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00130394)
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Keywords | 神経分化 / 神経遣伝子 / 転写制御 / 転写因子 / サイレンサー |
Research Abstract |
本研究では、神経分化および機能維持におけるNRS-NRSF系の意義を理解することを主目的とし、以下の4項目について研究を進めた。 (1)NRSFと転写コア因子の協調作用による転写抑制メカニズムの解析:NRSFとTBPおよび他の基本転写因子との結合に関して免疫共沈実験を行い、TBPの部分欠失体との相互作用を検討した結果、NRSFのN末の抑制ドメインRD-1とC末の抑制ドメインRD-2との結合様式を明らかにした。また、NRSFとTBPの相互作用がNRSFによる転写抑制に必須であることを証明した(Murai et al.,2004)。 (2)NRSFドメイン構造および転写抑制ドメインの立体構造解析:NRSFのRD-1,RD-2領域の立体構造を決定するために、各ドメインを大腸菌で大量調製し、NMRによる構造決定を横浜市立大学(西村研究室)へ依頼した。予備実験の結果、構造が不安定で決定し難い状況だったので、N末についてはmSin3のPAHドメインとの複合体としての解析を進めている(野村ら、未発表)。 (3)NRSFターゲット遺伝子群(NRSレパートリー)の解析:NRSFのターゲット遺伝子の一つであるSCG10類似遺伝子であるSCLIP遺伝子のプロモーター近傍にNRSF様の配列を見いだし、それも機能的に抑制エレメントとして働くことを確認した。しかし、この配列は位置依存的な活性を示し、厳密な意味でのサイレンサーではなくさらに検討中である(Sone and Mori,投稿/改訂中)。SCG10のもう一つの類縁遺伝子RB3の機能解析を進め、微小管崩壊活性にN末のドメインが寄与することを明らかにした(Nakao et al.,2004)。 (4)NRSFの非神経組織における役割の解析:昨年からNRSFの発現が一部の肺癌において変化していることが指摘されていた。これに関して、東大医科研の伊庭教授らと共同研究を進め、クロマチンリモデリングに関与するSWI/SNF複合体とNRSFとの機能連関が、一部の肺癌ではBRMないしBRG1サブユニットの欠落によって崩れ、神経特異的遺伝子を発現することがわかってきた(Watanabe et al.,投稿中)。
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Research Products
(6 results)