2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14401008
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
瀬川 昌久 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (00187832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚田 誠之 国立民俗学博物館, 教授 (00207333)
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Keywords | 海南島 / 地方文化 / 方言集団 / 漢族 / エスニシティー / 儀礼 / 親族組織 / 習俗 |
Research Abstract |
本年度は、研究代表者の瀬川と、分担者の塚田が10月〜11月に海南島西北部の〓州市、臨高県地域で地方文化の情況についての概況調査を行った。調査地域は、〓州市藍洋鎮藍洋村・南羅村(客家話使用、黎族・漢族客家雑居地域)、〓州市木堂鎮来山村・梁屋村、〓州市三都鎮漾月村(〓州村話使用、漢族〓州人居住地域)、〓州市中和鎮(軍話使用、漢族講軍話人居住地域)、臨高県城、臨高県新盈鎮、臨高県調楼鎮(臨高話使用、漢族臨高人居住地域)である。これにより、同地域における複雑な地方文化・方言・民族集団の分布状態についての一定の理解を得ることができた。また、不落夫家、宗族活動、年中行事その他、伝統習俗の残存情況についても、概況を把握することができた。〓州市地域では、共通言語として〓州話が広く使用されつつも、客家話、軍話等の言語コミュニティーは維持されている。他方、海南島全体として共通語の地位にある海南話はほとんど通用していない。〓州話は軍話話者側からは「村話」と呼ばれている。臨高県ではチワン語と共通性の高い臨高話が流通しているが、ここでは〓州話も海南話もあまり通用しない。若者宿の風習は現在は廃れているが、〓州話地域と臨高話地域に共通して存在しつつも、その行われ方に差異があったことが確認できた。このようにパッチ状に言語・地方文化の分布する状況は、華南全域でも特に著しい事例であり、今後その成立背景や維持のメカニズムについて調査を行うに十分な対象であることが確認された。 また、地方志を中心に、海南島関連の文献資料を収集し、同島の地方文化について考察するための基礎知識の獲得に務めた。来年度は、今年度の基礎の上に、さらにテーマと地域を絞った調査と、併せて南部の三亜市崖城鎮地域の調査を行う予定である。
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Research Products
(2 results)