2002 Fiscal Year Annual Research Report
北部ベトナムにおける伝統的木造建造物の架構法に関する研究
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14401034
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
山田 幸正 東京都立大学, 工学研究科, 助教授 (10191347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 香織 東京都立大学, 工学研究科, 講師 (20322349)
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Keywords | 民家 / 仏教寺院 / 木造架構 / ベトナム古語(喃字) / 部材名称 / 仕口 / 荷重変形 / 解析モデル |
Research Abstract |
本研究は、ベトナム北部の民家など伝統的木造建造物の架構法の建築的特徴と歴史的変遷を明らかにすることをめざして、平成14年度から3カ年の計画で実施している。 初年度である平成12年度においては、以下のような調査、研究などをベトナム側共同研究者の助言や協力を得ながら行なった。 (1)ハーテイ省を中心としたベトナム北部の伝統的民家に関する実測調査 日越共同で1997年度より継続的に実施されている伝統的民家に関する実態調査は、これまでベトナム北部ではバクニン省、ナムディン省、タインホア省、ゲアン省で完了している。本年度は、紅河デルタに位置するハーテイ省に所在する合計66件(67棟)の伝統的民家主屋を対象に実測調査を実施した。そのうち51例において棟木銘などから建設年代が判明した。 (2)仏教寺院や亭などのベトナム北部の宗教建築遺構に関する実測調査 バクニン省トゥアン・タン県のチャム・ザン寺(17世紀頃)、ハーテイ省タイ・ダン村のタイ・ダン亭(1583年)はじめ、ハノイ市1件、バクニン省2件、ハーテイ省5件、仏教寺院や亭(ディン)合計8件の宗教建築遺構について、実測調査を実施し、それらの架構形式、仕口などの構造技法、彫刻などの細部意匠などについて、整理・分析を行なつた。 3)伝統的な木造架構における各部材名称などベトナム古語(漢越字や喃字)の検索と研究 P. Gourou著Les Paysans du Delta Ton Kinois (1936)など既往文献や上記民家調査において収集された情報などから、部材の名称を地方別に整理した。とくに喃字の漢字などからの原義などに着目して、各部材名称がもつ本来の意味について検討した。 (4)構造実験用の架構モデルの企画・設計・試作および発注 本研究実験用の架構モデルについて、ベトナム文化情報省および現地研究者などと協議・検討した結果、2001年に日本側の資金および技術援助により保存修復工事が完了したバクニン省ティエンソン県ディンバン村所在のグゥエン・タク・スン氏宅の主屋を選定した。当該事例の架構形式をもとに、モデルの形状や規模、各部寸法、各部の仕口などについて検討し、設計図書にして、現地制作業者に発注した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] チャン・ティクェ・ハー, 山田幸正: "ベトナム・ティエンザン省の伝統的民家に関する研究(1) 架構における細部形式について"第72回日本建築学会関東支部研究報告集. II. 541-544 (2002)
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[Publications] チャン・ティクェ・ハー, 山田幸正: "ベトナム・ティエンザン省の伝統的民家に関する研究(2) ファサードと平面による類型区分と変容・近代化の過程について"第72回日本建築学会関東支部研究報告集. II. 545-548 (2002)
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[Publications] 山田幸正, チャン・ティクェ・ハー, 友田博通: "ベトナム・タインホア省の伝統的民家に関する研究(1) 主屋の平面および架構について"日本建築学会大会学術講演梗概集. F-2分冊. 675-676 (2002)
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[Publications] チャン・ティクェ・ハー, 山田幸正, 友田博通: "ベトナム・タインホア省の伝統的民家に関する研究(2) 架構における斜梁と束・肘木について"日本建築学会大会学術講演梗概集. F-2分冊. 677-678 (2002)
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[Publications] チャン・ティクェ・ハー, 山田幸正: "ベトナム伝統的民家の架構にみられる地域的特徴 北部ベトナムにおける架構形式の特徴"第73回日本建築学会関東支部研究報告集. II. 497-500 (2003)