2005 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツと日本における人々の自然観・林業観の形成過程に関する比較研究
Project/Area Number |
14401037
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
比屋根 哲 岩手大学, 大学院・連合農学研究科, 教授 (90218743)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神沼 公三郎 北海道大学, 北方圏フィールド科学センター, 教授 (00125303)
寺下 太郎 愛媛大学, 農学部, 助教授 (90314971)
鶴見 武道 愛媛大学, 農学部, 助教授 (50325362)
大石 康彦 岩手大学, 森林総合研究所・東北支所(環境教育機能評価部), チーム長 (80353605)
|
Keywords | フライブルク / フランクフルト / 森林観 / 林業観 / インタビュー調査 / 森林来訪者 / アンケート |
Research Abstract |
本年度は、ドイツのフライブルクおよびフランクフルト周辺の森林内で、林内を訪れる人々に対してアンケート調査票を示しながら対面形式によるインタビュー調査を実施した。この調査は、昨年度まで実施してきた子どもを対象にしたアンケート調査との関連で、子どもの自然観、林業観がどのように大人に引き継がれるのか、両者の関連について検討を試みるために実施したものである。調査は12月上旬に両地域で2日間ずつ実施し、フライブルクで52人、フランクフルトで18人の回答を得た(男性36人・女性34人、平均年齢50才)。調査の結果、およそ以下のことがわかった。 ・データ数が少ないこともあるが、フライブルクとフランクフルトで特別に地域差は認められなかった。 ・両地域併せて、森に来る頻度はほとんど毎日が19%、週に1度が29%と、両者をあわせて約半分を占め、日本と比較して森を訪問する人はそれが習慣化している様子がうかがわれた。 ・森のどこが好きかを尋ねたところ、3割以上の人が「新鮮な空気」、「静けさ」、「風景や物音、におい」といった五感で感じる森林の環境要素をあげていた。 ・森をどう扱うべきと思うかの質問には、「自然に近い方法で管理する」、「計画的・持続的に取り扱う」、「混交林にしていく」等の回答が比較的多く、森林の取り扱いに関する森林科学的な知見が市民のなかによく浸透していることがうかがわれた。 ・林業は森を守るのに役立っているかとの質問には、約6割の森林来訪者が肯定的な反応を示した。 ・そのような森林観を持つようになったのはいつ頃かの質問にたいしては、子どもの頃からが7割近くを占めたが、具体的な年齢については確かな回答は得られなかった。 ・以上、今回の調査から、ドイツ人の森林観や林業観は子どもから大人へ連続的に意識が変化し形成されていることがわかったが、さらに多くのデータの収集・分析が必要である。
|
Research Products
(6 results)