2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14402006
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Research Institution | The University of the Air |
Principal Investigator |
六本 佳平 放送大学, 教養学部, 教授 (70009827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 裕 神戸大学, 法学部, 助教授 (40282587)
浜野 亮 立教大学, 法学部, 教授 (80267385)
山口 浩一郎 放送大学, 教養学部, 教授 (20053621)
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Keywords | 韓日比較 / 法文化 / 司法制度改革 / 縁 / 法役務 / 訴訟率 / 裁判官 / 弁護士業務 |
Research Abstract |
本研究は、国家主導型システムから民間主導型システムへの移行期における法システムの働きについて、韓日両国を経験的に比較分析することを目的とし、研究分担者のほかに韓国側の協力者および事実上の共同研究者を含め、主として英語による共同作業で進めた。利用可能なものとして、両国の法律家(裁判官および弁護士)および日本の弁護士業務形態に関するデータを利用した。両国の司法制度に関する調査を基礎として、各参加者の選択により、司法制度改革の課題と経過、司法試験に合格した法律家の属性分析、裁判官のキャリアパターン、弁護士、特に近年の大規模ローファーム弁護士の属性プロフィル、および民事訴訟事件の経年変化に見られる経済や文化要素の影響の分析を両国について行った。韓国で戦後続いた独裁体制と80年代半ばの民主革命および急速な経済発展は、相似た司法制度が顕著に異なる動きを示すこと(韓国における司法試験等の改革のプロセス、法律家の急激な増員、司法官の弁護士に対する優越的地位、ローファームの急激な発展パターンなど)を理解する上で不可欠の背景要素であることが再確認された。比較分析においては、「縁」(personal ties)という伝統文化の要素を不断のレファレンス・ポイントとしたが、その作用をデータによって確定することは目指さず、一方で司法制度および法律家制度とその歴史的・政治的背景、経済情勢の変化などを抑え、他方で近年の社会変化に対する各法システムの対応の仕方を見て、それらの中に伝統価値の下地作用を読み取ろうとした。その結果、西洋近代型法システムの後発的建設において伝統的な縁の作用を断ち切るための公式制度的しくみとして、試験を通じての客観的人材選抜および官僚組織(裁判所を含む)による国家官僚主導型の司法制度が機能してきた、という仮説に到達した。その断ち切りの段階的過程や公式制度の作用における縁の要素の存続(出身校による縁など)の具体的様相の探求は、次の課題となる。
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