2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14402012
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大澤 義明 筑波大学, 社会工学系, 教授 (50183760)
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Keywords | 税競争 / 税調和 / 越境購売 / 欧州連合 / ナッシュ均衡 / 通過交通 / デンマーク / ドイツ |
Research Abstract |
1.海外調査では,間接税率差が最も高いデンマークとドイツとの国境地帯を現地調査した.そして,間接税差が高いデンマークから低いドイツへ多くの顧客が流れている実態を,両国国境での店舗分布や店舗内駐車場自動車のナンバープレート調査,さらに小売り価格,店舗や広告使用言語から明らかにした.国際間越境購買では大国から小国へ流れるというのが多くの理論的研究の定説ではあるが,当研究では他国競争では必ずしも成立しないことを理論的に示したが,それを事実として確認できた. 2.税競争の第一人者であるミュンヘン大学経済学部ハウフラー教授の下で「税競争と税調和政策」研究について講演し,欧州における税調和政策,環境政策,特に所得税の際による越境通勤,デポジット政策の足並み不揃いによる環境施策の非効率性等の問題点について議論を重ねた.また,欧州連合等経済連合が税競争にどのような役割を果たすのかについて,特に欧州連合に取り囲まれているスイスの行動の現状を説明するモデル構築について共同研究を開始した. 3.調査内容を受けてより現実的なモデルを構築した.具体的研究成果としては,通過交通の影響を明示的に捉え,それを考慮した直線上の多国間税競争モデルをナッシュゲーム(プレイヤーを国,政策変数を税率,収益を総税収)で定式化し論文を執筆した.通過交通の導入により,内国間での競争が激しくなり必ずしも安定解が得られないこと,全体の税率が下がること,小国と大国との税収差が拡大することを証明した.現在,この成果を国際誌International Tax and Public Financeへ投稿している.
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Research Products
(1 results)