2003 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアの農産物貿易の構造変動と食料供給力の安定化に関する国際共同研究
Project/Area Number |
14402030
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
甲斐 諭 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (70038313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 雅正 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (00003129)
村田 武 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (70030161)
辻 雅男 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (90284554)
胡 柏 愛媛大学, 農学部, 教授 (80248624)
横川 洋 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (30007786)
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Keywords | WTO / 龍頭企業 / 緑色食品 / 無公害食品 / 生産基地 / 中国食料供給 / 中国農産物輸出戦略 |
Research Abstract |
本年度は中国現地調査により、主に食料供給の構造変化と農産物輸出戦略を明らかにしてきた。 1.これまで中国では、食料供給力が不十分な状態にあり、一貫して農薬・化学肥料の投下、農業技術の近代化による農産物供給力の向上が図られてきた。これを前提とすることに変わりないが、WTO加盟後には国際競争力の強化のため、安全かつ良質の農産物供給を重視するようになっている。 2.農産物安全性・品質を重視した無公害食品、緑色食品、有機食品の基準を定め、これらへ生産を転換している。これらの農産物生産に占める割合はまだ低いが、緑色食品の生産は2002年に1,756杜、中国の食品産業をリードする龍頭企業については151社のうち51杜で取り組まれている。農産物の高級化、高所得者への販売による価値実現、海外市場参入を促進するものとして生産の振興が図られている。 3.緑色食品の認証費用は1万元である。2001年の農民1人当たりの平均年収は2,366元であるため、農家が個別に認証される可能性はほとんどないといってよい。その代わりにこの認証は農産物の生産基地単位で取得されることが多い。生産基地では管理者と参加農家で契約生産が行われ、統一された生産要素の利用、生産技術の導入がなされ、農産物のロットの拡大と均一化が図られる点にメリットがある。生産基地への参加農家からの買取価格は最低価格を保証するとともに、卸売市場価格が変動しても、割高に設定することにより農産物の安定確保を図っている。緑色食品の中国での小売販売価格は慣行農産物の10〜20%高く設定されているが、これ以上の価格では販売数量の減少が懸念され、最近では、海外市場の開拓が目指されている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 甲斐 諭: "野菜輸入急増とセーフガードの経済分析"韓国農業経済学会共同セミナー. 308-330 (2003)
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[Publications] 甲斐 諭: "フードシステムの改革による食農連携の創造"2003年度九州農業経済学会大会報告資料. 1-30 (2003)
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[Publications] 甲斐 諭: "中国における米の生産と国際競争力に関する研究"九州大学大学院農学研究院学芸雑誌. 第1・2号. 113-121 (2003)
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[Publications] 甲斐 諭: "韓国における対日生鮮野菜輸出の特質と変化に関する考察"2003年度日本農業経済学会論文集. 429-433 (2003)