Research Abstract |
日本における調査については,前年度の調査結果に基づき,看護職のストレスおよびストレス対処特性の質問表について改訂版を作成した。職業性ストレスは一般的な簡易職業性ストレス質問紙20項日に,看護職特有のストレスとして15項日の質問を加えた計35項日(NSS)にて評価し、ストレス対処特性についても改訂版の簡易質問票18項目(SCS)を用いて信頼性,妥当性の検討を行った。一総合病院の協力を得て,病棟看護職333名を解析対象とした。NSSの因子分析で抽出された11因子は事前に想定した尺度と一致し,寄与率の大きい順に「量的負荷」,「達成感」,「人命に関わる仕事」,「医師との関係困難」,「裁量度」,「患者の死との直面」,「対人関係の困難」,「同僚・上司の支援」,「患者・家族との関係困難」,「患者・家族への支援困難」,「質的負荷」と解釈された(累積寄与率69.0%)。SCSの因子分析で抽出された6因子は事前に想定した尺度と一致し,寄与率の大きい順に「気分転換」,「積極的問題解決」,「情動対処」,「問題解決のための相談」,「発想転換」,「感情抑圧」と解釈された(累積寄与率68.5%)。CES-D得点を目的変数とした重回帰分析の結果,仕事ストレスの「質的負荷」,「対人関係の困難」「患者・家族との関係困難」およびストレス対処の「情動対処」,「感情抑圧」が抑うつ度に正の関連を示した。海外調査については,中国成都市の四川大学との共同研究として,成都市の総合病院の女性看護職348名を対象として調査を実施した。特徴的な結果として,職業性ストレス得点について日本の看護職が中国よりも高かったものに,「質的負荷」,「人命に関わる仕事」,「医師との関係困難」,「患者の死との直面」,低かったものとしては「裁量度」があった。またストレス対処については,中国において「積極的問題解決」,「問題解決のための相談」が多く,「感情抑圧」は少なかった。
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