2002 Fiscal Year Annual Research Report
北米自由貿易協定下のメキシコ農村社会経済空間の変容とコミュニティに関する研究
Project/Area Number |
14402040
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
北野 収 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (90339292)
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Keywords | メキシコ / ネオリベラリズム / 直接所得補償 / 市民社会 / 自己組織化 / NGO / エンパワーメント / 内発的発展 |
Research Abstract |
北米自由貿易協定加入、構造調整とグローバル化等を経験し、途上国のなかでも最もドラスティックに経済の自由化が進行している国のひとっがメキシコである。同国は、米国の膝元ということもあり、移民労働者問題など両国の格差から生まれるさまざまな問題を内包するとともに、国内でも人種問題、政府の腐敗等さまざまな社会、経済、政治的矛盾を抱えている。本年度に発表した「プロセスとしての開発:地域開発を考える3つの次元」(開発学研究、13巻2号)は、本研究の理論的フレームを提示するものであり、筆者はこの中で、究極的に社会変革へとつながる市民参加型の開発観を提示した。これを踏まえ平成14年夏の現地調査では、オワハカ州を拠点に農村開発、環境保全、人権擁護等に関わる現地NGO10団体を訪問し、詳細な聞き取り調査を行ったところである。「開発」の本来のアクターである市民社会がどのようにグローバル化に反応し「自己組織化」が発生するのか、そしてそれはオルタナティヴな開発となるのか、これが現地調査と理論研究を通じて得られたリサーチクエッションである。関連して、現地調査で得られた情報をもとにメキシコ政府の貧農支援策について「メキシコの農家直接所得支払制度」(開発学研究、13巻3号)として発表した。今後はメキシコの市民団体(現地NGO)に焦点をあてて、周辺空間における市民社会の自己組織化のメカニズム解明と自律的・内発的な発展の可能性について検討していく。昨年度現地調査の成果は順次学術論文として発表していく(既に3本が投稿中)。
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Research Products
(2 results)