2002 Fiscal Year Annual Research Report
バルト海沿岸地域及び東アジア地域における環境政策面での地域比較研究
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14402047
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柳下 正治 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (40335021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青 正澄 (株)共立総合研究所, 調査部・主任研究員
高橋 若菜 宇都宮大学, 国際学部, 講師
加藤 久和 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70283380)
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Keywords | 地域環境協力 / 環境政策 / 酸性雨 / 海洋環境 |
Research Abstract |
バルト海及び北東アジア地域の環境政策等の比較研究は、地域環境政策が大幅に進展しているバルト海地域に着目し、同地域における1970年代から現在に至る地域政策の形成の過程等を、酸性雨や海洋汚染問題に着目してレビューし、北東アジア地域へのインプリケーションを見出すことを目的に据えて実施している。平成14年度は、既存文献・先行研究のレビューを行うとともに、ヘルシンキ条約、越境大気汚染防止条約の形成過程に係わった欧州の関連機関・政府、研究所等、更に韓国を訪問し、資料収集・意見交換を実施した。 両地域は、越境汚染問題に直面し、経済発展段階の異なる国々で構成されるといった共通点を有する。しかし、EU統合を軸に一体化が急速に進展している中東欧と、北朝鮮問題や日本海の呼称問題等、政治的障壁が目立つ北東アジアとの間では基本的相違がある。北東アジア地域は、自然条件、経済・社会等の面で深い関係を有しており、環境共同体意識の下、持続可能な北東アジア地域を形成することが地域の安定と発展にとって不可欠の要素である。しかし、情報交換、政策対話、環境面の技術・資金協力は多層的に進展しているが、共通理念に基づいた地域戦略や地域環境政策の形成には至っていない。 バルト海地域は、東西冷戦の政治的・経済的対立構造下にあっても、1970年代頃から障壁を乗り越え、現在の取組の下地となった協調的な環境取組が開始されており、地域政策枠組みへの参加の動きを確認できる。ベルリンの壁の崩壊後、地域環境政策は一気に大きな飛躍を見たが、これを可能とした原型を1970〜80年代の政治的・経済的対立構造下での取組に学ぶことができる。これまでの取組を総括し、経済格差の調整、政治的対立構造の調整、地域の利害対立構造の調整等のメカニズムを十分に評価することが、北東アジア地域へのインプリケーションの明確化のポイントであろう。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 青正澄, 柳下正治, 高橋若菜: "海洋環境問題におけるバルト海沿岸地域の取組"環境経済・政策学会2002年大会・報告要旨集. 206-207 (2002)
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[Publications] 高橋若菜, 柳下正治, 青正澄: "バルト海沿岸地域における地域環境協力-ガバナンスの視点から-"環境経済・政策学会2002年大会・報告要旨集. 207-208 (2002)
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[Publications] Wakana Takahashi: ""Problems of Environmental Cooperation in Northeast Asia : the Case of Acid Rain" in Harris P. ed. International Environmental Cooperation : Politics and Diplomacy in Pacific Asia"University of Colorado. 328 (2002)