2002 Fiscal Year Annual Research Report
初期地球の海洋化学組成および初期生命体活動環境の規定
Project/Area Number |
14403012
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
掛川 武 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60250669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 弘基 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80333780)
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Keywords | グリーンランド / イスア / リン / 初期地球 / 縞状鉄鋼層 / 二酸化炭素分圧 / 始生代 |
Research Abstract |
本研究課題は基盤研究Bの海外学術研究に属する研究課題であり、海外地質調査を主体にする研究である。初期地球に生息した生命体の活動を理解する為に、生命体活動場としての海洋環境(海洋への元素フラックスや海洋のpH、二酸化炭素分圧など)を復元する事が主目的である。初期地球海洋環境に堆積した海洋堆積物や海水と反応して形成された岩石の地質調査および無機・有機化学分析、安定同位体分析などが主だった、研究手法になり、海外研究者を研究協力者として加え研究を遂行してきている。本年度は、グリーンランドイスア地域に産する38億年前の地球最古の地層をターゲットとして、7月初旬から8月上旬にかけて現地調査を行った。大陸氷河末端部でアプローチ困難な地域の調査であったが、デンマーク、コペンハーゲン大学の協力が得られ調査は成功した。詳細な地質調査および帰国後の岩石記載研究、卓上蛍光X線顕微鏡などを用いた分析により、38億年前の海洋底の情報とその後の変成作用から来る情報の分別が可能である事が分った。それにより、(1)リンに富んだ38億年前の海洋の姿が具体化されつつあり、リンに乏しかったとする定説と異なった見解を得つつある。また(2)縞状鉄鉱層の堆積に関して火山灰などの寄与が大きく火山活動が活発な初期地球の姿が具体化されつつある。この海外での調査の様子は、科学雑誌「ニュートン」にも紹介され、この研究の社会的関心の高さを物語る。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kakegawa T., M.Noda, H.Nannri: "Geochemical Cycles of Bio-essential elements on the early Earth and their relationships to origin of life"Resource Geology. vol.52.2. 83-89 (2002)
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[Publications] 掛川武: "初期地球の生物活動と地球表層環境変動"日本惑星科学会誌、遊星人. vol.12, No.1. 14-18 (2003)
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[Publications] Kato Y., Urabe T., Kakegawa T.: "Preface-A special issue devoted to 50th Anniversary Symposium : Mineral Resources, Earth's Environments and Life"Resource Geology. vol.52.2. 81-82 (2002)
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[Publications] 中澤弘基: "Claysphere : past, present and futureの視点"粘土科学. vol.43.1(印刷中). (2003)
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[Publications] 掛川武: "宇宙の視点で見た地球・生命"ニュートン. vol23.no1. 54-59 (2003)
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[Publications] 掛川武: "資源地質学会50周年記念教科書「地球大気はいつから酸化的になったか?」"52-55 (2003)