2004 Fiscal Year Annual Research Report
初期地球の海洋化学組成および初期生命体活動環境の規定
Project/Area Number |
14403012
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
掛川 武 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60250669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 弘基 独立行政法人物質・材料研究機構, フェロー (80333780)
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Keywords | 海洋化学 / 初期生命 / リン / イスア地域 / 二酸化炭素 / 枕状溶岩 / 縞上鉄鉱層 |
Research Abstract |
本研究では、世界最古の地層から、初期地球の海洋化学組成を温存している物質をとおして、当時の海洋化学組成を復元し、最初の生命を育んだ海洋の姿を具体化させる事を目的としている。 本研究ではグリーンランドのイスア地域(38億年前)をターゲットに調査研究を行ってきた。この調査はコペンハーゲン大学との共同研究の形で行われた。15年度までの調査で、38億年前に形成された枕状溶岩が海洋化学組成を温存している可能性、特にリンの存在度が得意的である事などを指摘してきている。同時に縞状鉄鉱層にも炭酸塩が富み、当時の海洋化学組成を規定する重要な要素である事を見いだしてきた。16年度は最終年度であり、今までの発見を再調査すると同時に、外国人関係者と現地で小カンファレンスを開き、我々の成果に対する議論を行った。 本研究を通して、現在の海洋と同じようなリンのサイクルが行われていた事、海洋中溶在二酸化炭素濃度は著しく高かった事、それらをふまえると海水のpHは弱酸性にふれ、鉄、シリカ成分に著しく富んだ状態であった事が判明した。こうした環境では現在の温泉環境にいる微生物のみが生息可能であり、初期生命体を考える上でも重要な知見を与えた。本年度行った調査で新たに生物の死骸を含んだと思われる地層を発見した。現在も分析・解析が進行中であり、本当に生物の死骸を含んだ地層である場合は、非常に大きな発見となる。同時に、生物が生きていた環境も規定するため、国際的なインパクトは極めて大きい。様々な国内誌にその成果は既に公表してきている。国際学会では既に招待講演などで、成果を公表してきている。国際誌にも投稿準備中である。
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Research Products
(6 results)