2004 Fiscal Year Annual Research Report
アルメニア共和国における中期キリスト教遺構の調査・研究-アルメニア共和国のキリスト教遺構の保存対策-
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14404011
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Research Institution | Interdisciplinary Graduate School of Science and Engineering, Tokyo Instutute of Technology |
Principal Investigator |
篠野 志郎 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (20108210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬尾 和大 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (30089825)
藍澤 宏 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70167766)
元結 正次郎 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (60272704)
羽深 久夫 札幌高等専門学校, 助教授 (50280318)
高橋 宏樹 ものつくり大学, 技能工芸学部, 講師 (60226876)
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Keywords | アルメニア建築 / リュプシメ教会 / 常時微動測定 / 写真測量 / 構造解析 / モルタル成分分析 / マルマシェン修道院 / ハイカジョール教会 |
Research Abstract |
最終年度に当たる平成16年度は、アルメニア共和国において23棟のキリスト教遺構の調査を実施した。その内、研究の中心をなすアルメニア建築の初期から中期に至る過程での代表的な遺構であるリュプシメ教会とマルマシェン修道院については、補足的な調査を実施した。特に、リュプシメ教会に類似したリュプシメ型教会は、アルメニアにおいて幾つか残されており、それらの遺構は上部構造を失っているものの、リュプシメ型教会の発展を明らかにする上で重要な遺構であることから、悉皆的な調査を実施した。具体的には、アイゲシャット、モフレニス、コラタキヴァンク、ガルナホヴィットが、これらに相当する。また、中期の遺構で最初期にあたり、修道院型の原型と位置づけられるマルマシェン修道院については、文化的にアニ王国の最盛期の遺構であり、類似した遺構として比較のためにハイカジョール教会の調査を実施した。これらの調査遺構の内、今後の研究にとって重要と考えられる遺構である、チチェルナヴァンク、モフレニス、ハイカジョールについては、写真測量を実施した。これらの調査データを持ち帰り、本年は報告書を作成している。とりわけ、初期アルメニア建築の建築形態の発展については、日本建築学会の論文報告集に投稿している。また、調査において取得した常時微動特性を整理し、また調査で採取したモルタルの化学的分析を行い、そこからリュプシメ教会の構造解析を行った。その結果、現在、構造体に幾つかの亀裂が認められるものの、構造的には極めて安定した遺構であることが明らかになり、今後の保存の指針を明確にした。また、モルタルの化学分析から、成分的にはアルメニアにおいては地域的な差よりも、年代的な差が明確に見られることを明らかにした。同時に、過去3年間に亙り実測と写真測量を行った遺構について、本年度の調査で得た補足的なデータを加え、正確な建築図面を作成した。
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Research Products
(4 results)