2002 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯雨林におけるアリ類による食植者制御に関する研究
Project/Area Number |
14405004
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
市岡 孝朗 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (40252283)
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Keywords | アリ類 / 植物-動物相互作用 / 食植者群集 / 食葉性昆虫 / 食植性昆虫 / 東南アジア熱帯雨林 / 花外蜜腺 / 林冠生物 |
Research Abstract |
今年度は、ボルネオ島に分布する熱帯雨林の林冠部におけるアリ類の存在量と時間的空間分布を知るために、マレーシア国サラワク州の熱帯低地にあるランビル国立公園のフタバガキ混交林において、当地の林冠到達システムを用いて、林冠を構成する樹種15種の林冠部でのアリ類の個体数調査を3〜10回おこなった。この調査に並行して、林冠部での食葉性動物による食害量を知るために、食害度の調査と叩き網による食植性昆虫の採集をおこなった。 これまでの結果、林冠部の葉上ではほとんどの樹種において、新葉の展開時期を除くとアリ類の個体数は葉あたり0.07個体以下になった。また、得られた種数も、樹木1個体当たり4種を超えることはなかった。しかし、枝部分においては、着生植物のアリ植物が存在しない場合には、個体数は葉あたりに換算して(その枝についている葉の枚数にもとづく)、0.5個体を超える樹木個体が見られ、種数も6種に達したものが見られた。新葉の展開時期には葉上でみられるアリ数の個体数が増加し、新葉に限ると葉あたり個体数は0.7個体以上となる樹種も見られた。これらの樹種では、新葉に花外蜜腺が形成されて花外蜜が分泌されていることが確認され、そこにアリが誘引されていることが確認された。着生植物のアリ植物種が林冠部に存在する場合には、これらと緊密な関係をもった共生アリの存在量が枝部分において有意に高くなることが確認されたが、これらの種類は、葉を展開している枝梢部にはほとんど採餌場所を拡げていないことが確認された。 葉に対する食害率は、葉面積に換算して2.5〜11.2%の範囲の値を示したが、花外蜜腺の有無との関連は認められなかった。また、食葉性昆虫の葉あたり個体数は、0.002個体以下となり、林冠部での食葉性昆虫の存在量はきわめて低いことが明らかになった。
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