2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14405007
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
江口 和洋 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (60136421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 昌興 大阪市立大学, 大学院・理学部研究科, 講師 (70311917)
永田 尚志 国立環境研究所, 生物多様性研究プロジェクト, 主任研究員 (00202226)
上田 恵介 立教大学, 理学部, 教授 (00213348)
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Keywords | 協同繁殖 / ヘルパー / 血縁度 |
Research Abstract |
平成14年10月より平成15年2月にかけて,オーストラリア・ノーザンテリトリー準州ダーウィンにおいて協同繁殖鳥類の野外研究を行った.本年度は調査の初年度に当たるため、調査地設定・対象種の個体の標識および生活史の把握を主要な目的とした。 ダーウィン・クマリ地区の乾燥疎林約15平方キロの範囲を調査地として,Grey-crowned BabblerとRed-backed Fairy-wrenの2種類について捕獲標識,採血,行動圏調査,行動観察,繁殖調査を行った. Grey-crowned Babblerは、1月までに19グループを確認し、うち15グループ、53個体を捕獲標識し、遺伝解析のための血液標本を採取した。グループサイズは3個体〜7個体(平均4.06個体)。それぞれCHD遺伝子による性判定と虹彩色による齢査定を行った。各グループは繁殖つがいに1〜5個体が付随した協同繁殖を行っていた。巣は1グループの行動圏内に3〜6巣存在するが、繁殖は1巣のみで行っていた。また、複数の巣を協同ねぐらとして使用していた。本年度の調査により、本種が協同繁殖種としては稀な、雌雄ともがなわばり防衛やヒナへの給餌を手伝うヘルパーとなる社会形態であること、また、ヘルパー(劣位)雌が繁殖を行っている可能性があることが明らかになった。今後、採取した血液を基に、グループ個体間の血縁関係および各メンバーの繁殖への遺伝的寄与を明らかにする予定である。 Red-backed Fairy-wrenについても個体を捕獲標識し、血液標本の採取を行った。本種は2個体〜4個体のグループで観察され、11月頃より雄が徐々に婚姻色に換羽し、2月には繁殖が確認された。 両種について・繁殖生態に関する情報が得られたので、来年度より本格的な調査を進める。
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