2002 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物の社会進化モデルとしてのタンガニイカ湖魚類の繁殖様式・社会性の解明
Project/Area Number |
14405008
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
幸田 正典 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70192052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
狩野 賢司 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (40293005)
宗原 弘幸 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教授 (80212249)
中嶋 康裕 宮城大学, 看護学部, 教授 (50295383)
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Keywords | 社会進化 / 社会構造 / 繁殖戦略 / タンガニイカ湖 / カワスズメ科魚類 / 婚姻形態 / 行動生態学 / 繁殖多型 |
Research Abstract |
今年度は研究計画調書に基づき、研究支援者として延べ5名の日本人研究者及び大学院生が主にランプロロギーニ族の婚姻形態、繁殖戦略について現地調査を行った。相原は、繁殖場所に巻き貝の殻を利用するブレビスの雄の繁殖多型である縄張り雄とスニーカー雄が、遺伝的基盤を持たないこと、すなわちこれらが雄の代替戦術であることをほぼ明らかにした。太田は、巻き貝の殻を利用するビッタータスの雄の繁殖多型について調査し、様々なサイズの雄が共存し繁殖することを確認した。共存の機構などの詳細については解析中だが、同サイズ個体ほど排他的であることから、異サイズ個体間では、何らかの共同繁殖が予想される。各雄の父子判定のための標本を持ち帰っており、これらの結果と行動観察の資料から、共同繁殖の実態に迫れる。このような婚姻形態はこれまで魚類でも報告のないものである。テンポラリスはこれまでパイレーツ雄、縄張り雄、スニーカー雄の3つの戦術が知られていた。加藤は、これらの繁殖成功の把握、3つの戦術が遺伝的基盤を持つかを明らかにするため、野外行動観察、現地での飼育実験、父子判定用の標本収集を行った。これらにより、本種の雄の繁殖戦術の実際の解明が期待される。これら、3種のカワスズメは、調査地の生魚を生かしたまま持ち帰っており、今後国内での水槽飼育観察及び実験も開始している。ロシッターは、これらカワスズメが繁殖場所としての巻き貝の群集生態学的調査を行った。これら魚の繁殖資源の大きさや密度は魚の繁殖生態に大きく影響するものであり、その基礎的な資料として重要である。越智は、社会性とくにカワスズメの雄の配偶縄張りの維持機構と侵入者の縄張り認知が予想以上に発達していることを明らかにした。国内では、宗原が過去及び本研究で持ち帰った標本の父子判定・資料解析を行い、血縁関係についての資料が大幅に増えた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Takahashi, D, Kohda, M: "Courtship in fast water currents by a male stream goby communicate the parental quality honestly"Behavioral Ecology and Sociobiology. (in press). (2003)
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[Publications] Takahashi, D, Kohda M: "Female preference for mest size in the stream goby Rhinogobius sp. DA"Zoological Science. 19. 1241-1244 (2002)
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[Publications] Matsumoto, K, Kohda, M: "The effect of feeding habitats on dietary shifts during growth in a benthophagous saction-feeding fish"Zoological Science. 19. 709-714 (2002)
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[Publications] Kohda, M., et al.: "Male reproductive success in a promiscuous armoured catfish corydoras aeneus (Callichthyidae)"Environmental Biology of Fishes. 63. 281-287 (2002)
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[Publications] Sunobe.T, Munehara H: "Mating System and Kim relationship between adults and young in the shell-brooding cichlid fish Neolamprologus meeli in Lake Tanganyika"Journal of Ethology. 21(in press). (2003)
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[Publications] Munehara, H., Sideleva.V., Goto, A: "Mixed-Species brooding between two Bikal sculpins, Paracottus kneri and Cottus kessleri : Field evidence for intra-and interspecific competition"Journal of Fish Biology. 60. 981-988 (2002)
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[Publications] 幸田正典 他: "魚類の社会行動2"海遊社. 210 (2003)