2004 Fiscal Year Annual Research Report
中央アジアおよびザバイカルにおけるヒグマ集団の分子系統地理と進化起源の探索
Project/Area Number |
14405011
|
Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
増田 隆一 北海道大学, 先端科学技術共同研究センター, 助教授 (80192748)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大舘 智志 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (60292041)
天野 哲也 北海道大学, 総合博物館, 助教授 (90125279)
村田 浩一 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (00339285)
|
Keywords | ヒグマ / 中央アジア / バイカル湖 / 分子系統 / ミトコンドリアDNA / フィールド調査 / 自然環境 / 遺伝子 |
Research Abstract |
本年度の計画に従って、研究を遂行することができた。ロシアの海外共同研究者(ロシア科学アカデミー動物学研究所のアブラモフ博士およびバリシュニコフ博士)の協力により、ユーラシア大陸内部に分布するヒグマについて標本収集が進展した。それらの標本について、ミトコンドリアDNAをマーカーとする分子系統地理的解析を行い、北海道および環オホーツク海周周辺のヒグマの遺伝子情報とを比較解析した。その結果、大陸内陸部のヒグマには、極東域や北米、ヨーロッパ等には見られない特異的な遺伝子型が存在することが明らかになった。特に、中央アジアのモンゴル・ゴビ砂漠やチベット域には、周辺地域のものとは異なる系統が分布していることが示唆された。さらに、バイカル湖周辺を含むシベリアには近縁な系統が広く分布していることが明らかとなった。一方、シベリア永久凍土から発掘された更新世ヒグマ標本を収集することができたので、それを対象とした古代DNA分析法も導入し、経時的ならびに空間的な地理的変異をさらに詳細に分析している段階である。また、平成16年11月から12月にかけて、海外共同研究者アブラモフ博士を北海道大学へ招聘し、これまでに得られたユーラシア大陸産ヒグマの遺伝学的データとロシア側研究者による形態的データとを比較解析し、ヨーロッパからシベリアを経て極東域および北海道にいたるヒグマの地理的変異に関して、過去の自然環境変動のデータと合わせて議論を行った。本年度は本研究の最終年であるので、フィールド調査を含む3年間に得られたデータのまとめを行い、学術誌に投稿発表する予定である。
|
Research Products
(7 results)