2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14405017
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
塚谷 裕一 岡崎国立共同研究機構, 統合バイオサイエンスセンター, 助教授 (90260512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永益 英敏 京都大学, 総合博物館, 助教授 (90218024)
今市 涼子 日本女子大学, 理学部, 教授 (60112752)
岡田 博 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40089892)
池田 博 岡山理科大学, 総合情報学部, 助教授 (30299177)
荒木 崇 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00273433)
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Keywords | 島嶼 / 環境適応 / 矮小型 / 日華植物区系 / シノーヒマラヤ / 屋久島 / 分子系統 / 細胞遺伝 |
Research Abstract |
東アジアの島嶼、特に比較的標高の高い地域において、本来その周辺地域には見られない他の植物区系に属する植物要素がrefugeeとして残されていることがある。また一方、海洋島の中には、自生する植物に著しい矮小化の認められる島も少なくない。しかし、いかなる環境要因が、そのような島嶼域独特の植物の形態的適応や隔離分布を実現しているのかは、ほとんど未解明のままである。また、熱帯東南アジアにおけるシノーヒマラヤ要素の進出に関する植物地理学的・分子系統学的解析も、ほとんど進んでいない。 そこで本研究2年目の平成15年度においては、昨年度、全体像がほぼ明らかとなった国内及び標的の概略が明らかとなった東南アジア地域について、より詳細に解析すべきフィールド地域の調査をそれぞれ、短期集中的に遂行した。具体的には、日本国内については宮城県金華山島、鹿児島県屋久島及び南西諸島の各所について、特定の矮小化植物について、現地での調査と研究室内での解析に取りかかった。また昨年度の内に収集したツルアリドオシ、オオバコ、イヌムラサキシキブ、ヤブガラシ等について、細胞遺伝学的、発生学的、分子遺伝学的解析を進めると共に、それぞれの近縁集団との間の遺伝的同一度について、分子系統学的解析を行なった(Okada et al.2003;Yokoyama et al.2003;Tsukaya et al.2003;Okada and Tsukaya 2003)。また東アジア・東南アジアに関しては、インドネシア・ジャワ島の2地点及びマレーシア領サバ州キナバル山において、それぞれ予備現地調査を行ない、日華植物区系の中でもPrimula, Potentillaなどのシノーヒマラヤ要素の隔離分布分類群を中心に、島嶼環境下の高山帯において適応を遂げたと考えられる植物種のサンプリングを実施した。これらについては、近縁種との間の分子系統学的解析及び発生学的解析を行なっている。またオオバコ属に関しては日本産のもの、特に屋久島矮小型等との比較を行ない、従来の分類体系に齟齬のあることを見いだした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Okada, H., Tsukaya, H., Okamoto, M.: "Intra-specific polyploidy and possiblity of occurrence of some genetic types for pollen development in Cayratia japonica, Vitaceae."Acta Phytobotanica et Geobotanica. 54(1). 69-75 (2003)
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[Publications] Tsukaya, H.: "A simple method for collecting DNA samples in the field"Newsletter of Himalayan Botany. 32. 15-17 (2003)
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[Publications] J.Yokoyama, T.Fukuda, H.Tsukaya: "Morphological and molecular variation of Mitchella undulata Siebold et Zucc., with special reference to systematic treatment of the dwarf form from Yakushima Island."J.Plant Res.. 116. 309-315 (2003)
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[Publications] H.Tsukaya, T.Fukuda, J.Yokoyama: "Hybridization and introgression between Callicarpa japonica and C.mollis (Verbenaceae) in central Japan, as inferred from nuclear and chloroplast DNA sequences."Mol.Ecol.. 12. 3003-3011 (2003)
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[Publications] H.Okada, H.Tsukaya: "Chromosome observations of Cayratia species, Vitaceae."Acta Phytobot.Geobot.. 54. 177-179 (2003)
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[Publications] 塚谷 裕一: "葉の形とサイズは環境に応じて変化する--葉形の可塑性と進化--"遺伝. 57(11). 54-59 (2003)