2003 Fiscal Year Annual Research Report
ジャワ島におけるカニクイザル視物質遺伝子の多様性に関する研究
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14405018
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三上 章允 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (40027503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
七田 芳則 京都大学, 理学研究科, 教授 (60127090)
後藤 俊二 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (90093343)
竹中 修 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (00093261)
岡本 暁子 東海学園大学, 人文学部, 講師 (40351176)
小池 智 東京都神経科学総合研究所, 微生物学・免疫学研究部門, 副参事研究員 (30195630)
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Keywords | 色盲 / 色弱 / 遺伝子 / カニクイザル / インドネシア / タイ / 図形弁別課題 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
申請者らは、インドネシア、ジャワ島パンガンダランのカニクイザル血液サンプルから視物質遺伝子の異常を発見し、網膜応答、知覚レベルでもヒトの色覚異常と相同であることを確認した。約3000頭の検索の結果、色覚異常のマカカ属のサルの分布はパンガンダランに限局しており、日本、タイ、インドネシアの他地域では発見できなかった。本研究では、上記異常視物質遺伝子が狭い地域の少数の群れにのみ見られた要因を探るため、インドネシア内の他地域における異常視物質遺伝子と視物質遺伝子の多型を検索することを目的としてスタートした。平成14年度は、ジャワ島西部ソレアルの調査の結果、色覚異常を引き起こさない遺伝子の変異がソレアルの群れに限局して存在することが明らかになった。平成15年度は、視物質遺伝子の変異をさらにタイ南部とインドネシア、ジャワ島中央部の2ヶ所の捕獲調査で検索した。タイでは、約60%のヒトに見られるM(緑)視物質遺伝子を多コピー持つ個体が複数見つかった。このタイプの遺伝子型は日本やインドネシアのマカカ属のサルには見つかっておらず、タイ南部ヤラの群れに限局していた。インドネシア中央部ワンゴンでは、捕獲条件が悪く10頭の捕獲に留まった。この中には特記すべき視物質遺伝子の多型は見られなかった。これらと平行して、カラーカモフラージュの条件での図形識別は、正常色覚よりも色覚異常に有利であることを証明するための行動実験を実施した。その結果、カラーカモフラージュを施した視覚刺激を用いた図形弁別課題は正常色覚サル、異常遺伝子を1つだけ持つキャリアのメスでは、エラーが増加するのに反し、色覚異常のサルはカラーカモフラージュなしの条件と同じ正答率であることが分かった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Saitou, A: "The behavioral evidence of the color vision deficiency in a protanomalia chimpanzee (Pan troglodytes)"Primates. 44. 171-176 (2003)
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[Publications] 三上 章允: "旧世界ザルと類人猿の色覚"脳21. 6・4. 40-47 (2003)