2004 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアのイノシシ・ブタの遺伝的源流に位置するベトナムのイノシシ属の遺伝子調査
Project/Area Number |
14405028
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Research Institution | GIFU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
石黒 直隆 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (00109521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩佐 光啓 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (00168551)
佐々木 基樹 帯広畜産大学, 畜産学部, 助手 (50332482)
本郷 一美 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (20303919)
遠藤 秀紀 国立科学博物館, 動物研究部, 研究官 (30249908)
茂原 信生 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (20049208)
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Keywords | イノシシ / ブタ / ベトナム / 遺伝子解析 / 系統解析 / 野生動物 / 家畜化 |
Research Abstract |
本海外学術研究は、ベトナムの野生イノシシと在来ブタについて形態的計測と遺伝的解析を行い、東アジアに広く分布する野生イノシシの起源と在来ブタの系統と遺伝的多様性を分析することである。平成14年度と15年度は狩猟にて捕獲され保存されていた考古遺物について分析したが、平成16年度は現在ベトナムに生息する野生イノシシの遺伝的解析に焦点をあてた。 1)海外学術調査の概要調査期間:平成16年11月13日〜21日、調査参加者:石黒直隆、岩佐光啓、佐々木基樹、本郷一美、姉崎智子(姉崎智子は霊長類研究所のCOE講師として参加)、調査場所:ベトナム中部のフエ市を基点に半径200キロ以内の地域、調査の内容:捕獲野生イノシシの試料とベトナム固有種である在来ブタより、血液、肉片および毛根を採取し現地にて総DNAを分離した。捕獲野生イノシシに関しては、生体での計測と解体後の形態計測を行った。ベトナムで得たDNAサンプルに関しては、帰国後、遺伝的に解析した。 2)解析結果(1)形態的計測:調査した捕獲野生イノシシは15キロ程度と小さく成獣ではなかったが、在来ブタとは異なる頭蓋を有していた。(2)遺伝的解析:野生イノシシの2検体と肉片9検体についてミトコンドリアDNA(mtDNA)572bpを増幅し系統解析を行った。その結果、野生イノシシは9グループに分類され、そのうち5グループがリュウキュウイノシシのグループに属した。この結果はリュウキュウイノシシの起源がベトナムにあり、現在もその末裔がベトナムに生息していることを意味する。 3)3年間の海外学術調査のまとめ:3年間で200検体以上の在来ブタと野生イノシシの検体を遺伝的に分析し、ベトナムの在来ブタは東アジアの家畜ブタの大きなクラスターを形成しているのに比べ、野生イノシシはリュウキュウイノシシのクラスターを形成することが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)