2004 Fiscal Year Annual Research Report
インドシナ半島と台湾におけるリス科動物の系統動物地理学的および進化生態学的研究
Project/Area Number |
14405030
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 良博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90092303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 順平 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (30177919)
遠藤 秀紀 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (30249908)
佐々木 基樹 帯広畜産大学, 畜産学部, 助手 (50332482)
押田 龍夫 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (50374765)
西海 功 国立科学博物館, 動物研究部, 研究官 (90290866)
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Keywords | リス科 / タイワンリス / カオナガリス / ミトコンドリアDNA / 染色体 / 頭骨 / 消化管 / 生殖器 |
Research Abstract |
ベトナム南部、タイ南部、タイ中央平野部、タイ北部において調査地点を実施し、トラップを用いてリス類の捕獲を行い、また収蔵標本資料からの遺伝学的・形態学的検索を行った。検討対象集団は、クリハラリス、タイワンリス、タイワンホオジロシマリス、カンボジアホオジロシマリス、インドシナシマリス、ホオアカカオナガリス、シロミミクサビオモモンガである。 捕獲動物から骨髄細胞を抽出し、染色体標本を作成した後、これらを各種分染法によって解析した。同時に捕獲動物から肝および筋組織を採取し、ミトコンドリアDNAの塩基配列の解析に入った。一方、頭骨標本を作製し、計測形態学的な解析を進めた。標本は現地で入手されたもののほか、合衆国スミソニアン自然史博物館、パリ国立自然史博物館収蔵標本をはじめとする世界の標本収蔵機関の標本を検討し、データとして蓄積を開始している。これらのデータに基づき、各分類群(種間および亜種間)毎に系統解析および地理的変異の解析を行った。また、遺体からは四肢骨格、四肢骨格筋を採材し、骨計測値と筋肉重量データを収集、筋構築の運動力学的解析を行った。さらに、頭蓋計測値から多変量解析を実施し、各種間および各地域間の頭蓋形態が、それぞれのロコモーション様式、採食パターン、食性、視覚・感覚器への要求に対してどのように機能形態学的変異を遂げているかを明らかにした。加えて現在、インドネシア島嶼部における各種の季節繁殖パターンを明らかにするため、生殖腺の組織学的・細胞生物学的分析を進め、同地域のリス科の繁殖様式を解明しつつある。最終的に、インドシナ半島、台湾、インドネシア島嶼部におけるリス科動物の分子系統学的解析、頭蓋・四肢の適応的進化、そして季節繁殖性に関して、各種各地域個体群の特質を解明してきたといえる。
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Research Products
(7 results)