2002 Fiscal Year Annual Research Report
湿地環境の維持を前提とした熱帯泥炭の持続的農業利用技術の構築
Project/Area Number |
14405034
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡辺 彰 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (50231098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 豊 山形大学, 農学部, 教授 (90005661)
山内 章 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (30230303)
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Keywords | 熱帯泥炭 / サゴヤシ / 国際研究者交流 / インドネシア / 微量要素 / 窒素無機化速度 |
Research Abstract |
インドネシア国スマトラ島リアウ州テビンティンギにて、移植5年目のサゴヤシに対する多量要素(N、P、K、Ca、Mg)、微量要素(B、Cu、Fe、Mn、Zn)施用の組合わせによる10処理区各4連について、生育調査および羽状複葉の無機養分濃度測定を行った。その結果、樹高には処理区間で有意差はなかったが、Fe無施用区で葉数が少なくなる傾向が認められた。Fe無施用区では、葉内Fe含有率も低く、対応が確認された。また、Fe含有率が高い区は、施肥の有無に関わらずCu、Znの含有率も高い傾向が認められた。Znの施用効果も、新しい葉でより顕著に見られた。一方、多量要素施用の葉内含有率への影響および葉数との関係は見られなかった。また、サゴヤシへの施肥が周辺河川水質に及ぼす影響を明らかにするため、多量要素+微量要素区からの排出水の成分分析を行った。濃度は常にNa、KまたはMgの順に高かったが、栽培年数の増加によりK、Cu、B濃度の増大と、Ca、Mn濃度の低下が認められた。サゴヤシの根密度は幹から1m以内、50cm以浅で明らかに高かったが、水平方向で10mを越え、隣木との養分競合が懸念された。 サゴヤシ施肥栽培が泥炭土壌のN無機化速度、交換性NH_3-N濃度および有機態N濃度に与える影響を調べ、他の熱帯泥炭土壌と併せて解析した。テビンティンギサゴヤシ土壌のN無機化速度は、温帯無機質水田土壌平均の約1.8倍と高かった。熱帯泥炭土のN無機化速度は、無作付土壌よりも作付土壌で高かったが、交換性NH_3-N、有機態N濃度とは対応しなかった。^<13>C NMRを用いて土壌有機物組成を分析したところ、森林>作付有>作付無の順に炭水化物Cの含有率が高く、伐採により易分解性有機物の消耗が起こるものの、サゴヤシを栽培する方が放棄した場合よりも地力は維持されると推察した。これらを結論づけるためにデータ数を増やす予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Benito H, Purwanto: "Nutrient availability and response pf sago palm (Metroxylon sagu Rottb.) to controlled release N fertilizer on coastal lowland peat in the tropics"Soil Science and Plant Nutrition. 48・4. 529-537 (2002)
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[Publications] Youji Nitta: "Morophological ad anatomical observations of adventitious and lateral roots of sago palms"Plant Production Suience. 5・2. 139-145 (2002)