2002 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯産アリ類における外分泌腺情報伝達物質の機能解明
Project/Area Number |
14405036
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
伊藤 文紀 香川大学, 農学部, 助教授 (50260683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 瑞樹 琉球大学, 農学部, 助教授 (20222135)
山岡 亮平 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (00111948)
山内 克典 岐阜大学, 教育学部, 教授 (30021322)
大河原 恭祐 金沢大学, 理学部, 助教授 (70283091)
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Keywords | アリ / 外分泌腺 / 防衛 / 擬態 / 抗菌 |
Research Abstract |
本年度は、メンバーがそれぞれマレーシア、インドネシア、香港、沖縄などのフィールドで野外調査を実施し材料の選定と予備観察をおこなった。主な結果は以下の通り。(1)マレーシアにおいて、後胸側板腺が異常に発達しその結果胸部だけが黄色で著しく目立つシリアゲアリの1種Crematogaster inflataの行動と後胸側板腺の形態および分泌物の化学構造を調査し、本種の後胸側板腺分泌物が有毒であること、分泌腺の形態が特異な構造であること、さらに、本種に擬態しているらしいオオアリ、ハネカクシが存在することなどが明らかになった。捕食者を用いた実験によって、オオアリはこのシリアゲアリのベイツ型擬態種であることが示された。これは社会性昆虫におけるベイツ型擬態のはじめての実証例である。(2)香港、インドネシア、マレーシアにおいて、ハリアリ類のいくつかの種で特異な防衛物質を持つものが発見され、それらの分泌源である外分泌腺の構造を明らかにするとともに、機能に関する予備実験を実施した。Myopias属は、すべての種が良く発達した大きな腹板腺をもつことが明らかとなり、その形態・化学・機能に関する研究をおこなった。この腹板腺からは独特の臭気がある物質が分泌され、巣仲間に対する警報フェロモンとしての役割と外敵に対する防衛物質としての役割を持っていることが明らかとなった。(3)アリによる植物の果肉の齧りとりによって、種子のカビによる死亡率が低下することが示され、アリの大顎腺から分泌される物質が抗カビ作用を持っている可能性が実験的に示唆された。また、クリスチャン・ピータース博士とロスリーハシム博士を国際社会性昆虫学会の際に日本に招聘し今後の共同研究などについて討議した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Tijskens, M., Ito, F, Billen, J.: "Novel exocrine glands in the legs of the ponerine ant Amblyopone reclinata"Netherlands Journal of Zoology. 52. 69-75 (2002)
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[Publications] Allard, D., Gobin, B., Ito, F., Tsuji, K, Billen, J.: "Sperm transfer in the Japanese queenless ant Diacamma sp."Netherlands Journal of Zoology. 52. 77-86 (2002)
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[Publications] Morgan, E.D., Jungnickel, H., Keegans, S., Do Nascimento, E., Billen, J., Gobin, B., Ito, F.: "Comparative survey of abdominal gland secretions of the ant subfamily Ponerinae"Journal of Chemical Ecology. 29. 95-114 (2003)