2004 Fiscal Year Annual Research Report
地球環境変動と人間活動がモンゴル遊牧草原の持続的利用に与える影響
Project/Area Number |
14405037
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 昇 京都大学, 生態学研究センター, 助手 (50093307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山村 則男 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (70124815)
和田 英太郎 海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, 生態系変動予測プログラムディレクター (40013578)
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Keywords | オーバーグレイジング / 農耕地化 / 土壌のアルカリ化 / 伝統的遊牧 / 林内遊牧 / 草原の生産力 / 水循環 |
Research Abstract |
モンゴルでは、過去数十年間の社会主義化とその後の民主化の進行で、ヤギを主とする家畜の増加と遊牧民の都市集中によるオーバーグレイジングと定住化、農耕地化、林内遊牧などが生じ、一千年以上続いてきた伝統的遊牧の様式と草原の利用状況が急激に変化した。モンゴルの自然環境条件では遊牧が持続的な産業となっており、遊牧による草原の持続的利用のためには、伝統的遊牧による家畜や土地の利用方式を評価する必要がある。家畜のオーバーグレイジングや農耕によって、モンゴルではウランバートル近郊の森林が成立する地帯であっても、土壌がアルカリ化し、グレイジング耐性植物が優占して草原が牧畜利用にてきさなくなる。一方、遊牧による住居の季節単位の移住や年単位の移動は、オーバーグレイジングを回避し、住居設営による季節的なオーバーグレイジングからの草原の回復を容易にし、草原利用を持続させてきた。オーバーグレイジングに至らないまでの家畜のグレイジングは草原の生産力を上昇させる。大型のウシ・ウマと小型のヒツジ・ヤギのそれぞれのグレイジングに対応させて高さを変えた月1回の草原の刈り取り実験では、植物の生長が良い谷筋では刈り取り高の高い方が、草原の低い斜面では刈り取り高の低い方が植物の年生産が高くなり、ヒツジ。ヤギを斜面に、ウシを谷筋に誘導するという、伝統的な遊牧方式が草原の生産力を高めていることが確かめられた。ウランバートル近郊の草原に接した森林の樹齢構成を調べると、樹齢がすべて数十年以上で、近年は森林が全く更新していない。これは家畜のグレイジングによるもので、数十年前には森林が更新できたのであり、近年の林内遊牧によるものと思われる。森林の存在は草原の水循環にとって重要であり、このまま森林が消失していくと、草原の乾燥化が促進される。
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Research Products
(6 results)