2002 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯熱マラリア原虫の薬剤耐性遺伝子の変異多型と薬剤感受性:地域性と時間的推移
Project/Area Number |
14406003
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
上村 春樹 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (60184975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 秀介 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (20180268)
神原 廣二 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (20029789)
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Keywords | 熱帯熱マラリア原虫 / 薬剤耐性遺伝子 / 遺伝子変異 / 遺伝子多型 / クロロキン耐性 |
Research Abstract |
マラリア原虫の薬剤耐性株の出現と拡散は、マラリアコントロールにおいて重大な問題である。私たちは熱帯熱マラリア原虫の薬剤耐性に関連する遺伝子多型を解析し、その時間的、地域的推移から耐性株の伝播、拡散について知見を得たいと考えて研究を始めている。本研究では、熱帯熱マラリア原虫の多剤耐性遺伝子pfmdr-1の多型とその時間変化を、主としてミャンマーとベトナムのフィールドサンプルで解析する。 今年度は予備調査、研究体制の確立を主な目的として活動した。 1.ベトナムにおける熱帯熱マラリア原虫サンプルの収集と解析 ベトナムのリサーチフィールドはホーチミン市から200km程度離れたビンフック省である。患者の血液を濾紙にスポットして持ち帰り、そこからDNAを抽出して調べることとする。平成13年からプロジェクトが開始しており、地域の医師、マイクロスコピストも同行して、感染者が見つかった場合には治療薬を与えることとして、同意が得られた患者103人から採血を行うことが出来た。サンプルからDNAを抽出してPCR法でマラリア原虫のpfmdr-1とpfcrt遺伝子の薬剤耐性と関連していると推測されている部位の解析を行った。Pfmdr-1遺伝子のTyr/Asn 86 alleleの割合が他の地域とは異なることを示唆する結果が得られ、今年度の解析結果に興味が持たれる。 2.ミャンマーにおける熱帯熱マラリア原虫サンプルの収集と解析 ヤンゴン市内の病院にはミャンマーの各地方に出かけた際に感染したり、地方では治療がうまく行かなかった患者が多数集まっている。研究協力者のHla Myat Mon氏が、、1996,1997年に集めたサンプルの遺伝子解析を行った。地域による特徴を示すような結果は得られなかったが、今後の比較の基礎となるデータが得られた。次年度の原虫サンプルをどのように収集するか検討を行っているが、現地とこちらとで考え方の違いがあり、結論には至らなかった。
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