2004 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯熱マラリア原虫の薬剤耐性遺伝子の変異多型と薬剤感受性:地域性と時間的推移
Project/Area Number |
14406003
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
上村 春樹 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (60184975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神原 廣二 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (20029789)
中澤 秀介 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (20180268)
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Keywords | 熱帯熱マラリア原虫 / 薬剤耐性関連遺伝子 / 遺伝子多型 / 遺伝子変異 / クロロキン耐性 |
Research Abstract |
昨年までのベトナム南部のサンプルに加えて、ミャンマー、インドネシアからのサンプルも解析に加えることが出来た。 ミャンマーの各地域から200余りのサンプルを集め、解析を進めている。ミャンマー国内では、大都市中心部を除き、その周辺部を含めてマラリア感染の危険があるということである。研究協力者Hla Myat Monさんとそのグループが、北部から南部、全体に渡ってサンプル収集をして地域による違いも比較している。熱帯熱マラリア原虫PFによる感染が大部分であり、特に首都であるヤンゴン周辺ではPFのみが検出された。三日熱マラリアPVは内陸部や北部山岳地域で認められるが、それほど多くはない。四日熱マラリアPMは内陸部の2例のみから検出された。熱帯熱マラリア原虫の薬剤耐性遺伝子の解析を行っているところであるが、クロロキン耐性に重要と示されているpfcrt遺伝子の76番目はThrを持つ株が大部分であり、5%程度のみで感受性とされるLys76が認められた。 インドネシアでは、共同研究者の神原氏がプロジェクトを展開している東部のロンボク島のサンプルを解析している。四日熱マラリアPMが、非常に限られた地域である時期まとまって検出され、インドネシアのマラリア流行には地域性が非常に高いことが示唆された。しかし再調査の時には認められず、ヒトの移動も激しいので他の地域で感染した可能性も含めて調べている。薬剤耐性に関連する遺伝子の解析は現在進行中であるが、pfcrt遺伝子の76番目はThrを持つ株が大部分である。 ベトナム、ミャンマー、インドネシアの解析を完了させるとともに、それぞれの結果を比較している。治療薬としてクロロキンを使用しているインドネシアでは熱帯熱マラリア原虫のpfcrt遺伝子の76番目はThrのみが検出され、クロロキンの使用を中止してアルテスネートを長年使用しているベトナムではThrとLysが半々程度検出されることは非常に注目される結果である。
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