2003 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアにおけるウイルス性脳脊髄炎のウイルス心理学的解析
Project/Area Number |
14406010
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岩崎 琢也 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (90146027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 智 国立感染症研究所, 獣医科学部, 室長 (90213157)
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Keywords | 狂犬病 / ニパウイルス感染症 / リッサウイルス / 感染病理 / 中枢神経系 / ウイルス性脳炎 / 東南アジア / ウイルス抗原 |
Research Abstract |
主として東南アジア地域で流行・アウトブレイクしているウイルス性脳炎を対象として研究を行っている。とくに狂犬病、狂犬病関連のコウモリ由来のラブドウイルス、ニパウイルス等のパラミキソウイルス、日本脳炎ウイルスを対象としている。日本脳炎ウイルスを除き、これらのウイルス性脳炎の原因ウイルスは本邦に上陸する可能性を有しており、これらの感染動態ならびに疫学、さらには診断系の開発と確立は重要である。とくにニパウイルスは1997-9年にかけてマレー半島に流行し、さらに本年バングラデイシュにおいて再び流行している。 今年度は昨年度までに開発した狂犬病ウイルスのnucleoproteinに対する抗体を用いて狂犬病関連のリッサウイルスを検出することを確認するとともに、この抗体が認識しないラブドウイルスの性状を解析した。このウイルスは1972年に本邦のコウモリより乳のみマウスの脳内接種により分離されたオオイタウイルスで、このウイルスはこれまでその性状が明らかとされていなかった。そこで我々はこのウイルスを接種した脳組織と未接種の脳組織よりRNAを抽出し、感染マウスのみに検出できるmRNAの単離を試みた。その結果感染組織のみに約1500塩基のバンドを検出し、この塩基配列を解析したところ、ラブドウイルス科のエフェメロウイルス属、ベシキュウロウイルス属、リッサウイルス属と類似性はあるもののいずれの属にも含まれない新しい属として分類されるべき存在であることを発見し、現在Archives of Virologyに印刷中である。 ニパウイルスに関してはマレーシアの流行時に多数の剖検を行ったマラヤ大学病理学教室のWong教授との共同研究が現在進行中である。ニパウイルスはブタにおいては急性肺炎症状が主体となるが、人体においては神経症状が主となり、かつ急性型と遅延型、再燃型の脳炎症状が認められている。現在、これらの例を対象とし、ウイルス蛋白の発現様式の差異の免疫組織学的検討を開始し始めたところである。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Inoue S, Sato Y, Hasegawa H, Noguchi A, Yamada A, Kurata T, Iwasaki T.: "Cross-reactive antigenicity of nucleoproteins of lyssaviruses recognized by a monospecific anti-rabies virus nucleoprotein antiserum on paraffin sections of formalin-fixed tissues"Pathology International. 53・8. 525-533 (2003)
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[Publications] Hayasaka D, Yoshii K, Ueki T, Iwasaki T, Takashima I.: "Sub-genomic replicons of tick-borne encephalitis virus"Archives of Virology. in press. (2004)
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[Publications] Iwasaki T, Inoue S, Tanaka K, Sato Y, Morikawa S, Hayasaka D, Moriyama M, Ono T, Kanai S, Yamada A, Kurata T.: "Characterization of Oita virus 296/1972 isolated from a horseshoe bat as a new genus of Rhabdoviridae"Archives of Virology. in press. (2004)
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[Publications] Nagata N, Iwasaki T, Ami Y, Sato Y, Hatano I, Harashima A, Suzuki Y, Yoshii T, Hashikawa T, Sata T, Horiuchi Y, Koike S, Kurata T, Nomoto A.: "A poliomyelitis model through mucosal infection in transgenic mice bearing human poliovirus receptor, TgPVR21"Virology. in press. (2004)
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[Publications] Hayasaka D, Gritsun TS, Yoshii K, Ueki T, Goto A, Mizutani T, Kariwa H, Iwasaki T, Gould EA, Takashima T.: "Amino acid changes responsible for attenuation of viral neurovirulence in an infectious cONA clone of the Oshima strain of Tick-borne encephalitis virus"Journal of General Virology. in press. (2004)