2003 Fiscal Year Annual Research Report
ネパール辺境部における性感染症およびHIV/AIDS高有病率要因に関する調査
Project/Area Number |
14406012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥村 順子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40323604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若井 晋 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30158571)
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Keywords | HIV / 性感染症 / 有病率 / ネパール / 妊婦 / 出稼ぎ労働 |
Research Abstract |
平成14年度の結果に基づき、ネパールでエイズ・性感染症対策に関わる機関と今後の行動計画を協議するため、本年5月20日に現地にてワークショップを開催した。また、ポカラにおける出稼ぎ先の9割以上が中近東であったこことから、研究調査地に赴き、これまで十分な情報が得られていなかった中近東における出稼ぎ労働者の生活環境、送金システム、さらにはネパールに残された家族の問題などについてKey Informant Interviewによる追加調査を実施した。 その結果、サウジアラビア、アフブ首長国連邦などの中近東で働く出稼ぎ労働者は、外出制限が厳しく、インドで働く出稼ぎ労働者に比べると、現地で性的関係を持つ機会が極めて少ないこと、そして残された家族は、十分な送金が得られない場合、売春により生活費を得ることなどがわかった。この結果を受け、平成15年10月より11月の間に出稼ぎ労働者および残された家族の生活環境調査をすべく、準備を整えたが、反政府グループの活動が再度激化し、現地で雇用する調査員の安全確保が困難となったため予定していた調査を断念することとなった。そこで、生活環境調査に関しては、バンコクにある国際移民機関において、出稼ぎ労働者の就労環境に関する聞き取りを実施し、5月に実施したKey Informant Interviewの結果とあわせて状況を調査した。また、平成14年の調査で懸案事項となっていた女性の性器クラミジア検査を尿で実施できないかという調査を併せて実施した。平成14年の調査の際、実施を試みた膣浸出液採取のためのSwabによるクラミジア検査が、被験者全員から拒否され、その感染実態を探ることができなったことから、この尿による検査が女性でも有効か否かを調べることは有意義であると考えたからである。将来ネパールにおいて応用することを目的とし、日本において女性ボランティア(n=120)から採取したSwab検体と尿検体とでクラミジア検査を実施した。その結果、PCR法を用いれば、女性の場合でも男性と同様に尿でSwabと同様の検出率が得られることがわかった。ネパールにおける性感染症の中でも、とりわけ女性のクラミジア有病率はその実態が不明であることから、この結果は有意義なものと考える。
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