2002 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカにおける高解像度衛星画像データの熱帯感染症研究への応用
Project/Area Number |
14406016
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
安高 雄治 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (50336187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門司 和彦 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (80166321)
嶋田 雅曉 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (70124831)
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Keywords | ビルハルツ住血吸虫病 / タンザニア / 水接触行動 / 衛星画像データ / 有病率 / 性差 / ザンジバル |
Research Abstract |
研究初年度である平成14年度では,研究実施計画通り,調査地の決定及び調査準備,衛星画像データ入手を進めた.まず,調査地決定では,既存の情報だけでは不十分であったため,候補地においてビルハルツ住血吸虫症の有病率調査を実施した.その結果,有病率は予測されたレベルであり,研究対象として適した社会文化的・地形学的環境要因を有していると考えられたため,タンザニア・ザンジバル島北部のバンダマジ地域を対象地として選定した.各戸訪問による悉皆調査の結果,バンダマジ地域の人口は996,世帯数は197であった.本来の計画では,まず最初に住民との間に十分なラポールを形成する予定であったが,上述した理由により実施順序を入れ替えた.有病率調査実施後,個人属性(人口学的)データの収集も一部行った.衛星画像データは,発注済みである. バンダマジ地域における有病率調査の結果から,以下の点が明らかとなった.まず,対象者全体としての有病率は57.5%であり,有病率は高かったものの感染強度は低く,常に強い感染リスクに曝されているわけではないことが示唆された.有病率を年齢帯別に見ると,6-18歳の年齢帯で圧倒的に高く,続いて19-29歳の年齢帯で高かった.バンダマジ地域内の各エリア間には有意な差は見られなかった.興味深かったのは,有病率において非常に有意な性差が見られたことである.これらの結果は,社会文化的要因を背景とした水接触行動の感染に及ぽす影響の重要性を示唆していると考えられた.治療1ヶ月後,有病率は2.5%まで低下した.聞き取り調査の結果を合わせて分析した結果,感染リスクのある川の水を使用した「洗濯」や「水浴び」を行う習慣と,「自身が住血吸虫に罹患している」とする自己診断の指標が,有病率推定の指標として有効であるという結果が得られた.
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