2003 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカにおける高解像度衛星画像データの熱帯感染症研究への応用
Project/Area Number |
14406016
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
安高 雄治 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (50336187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門司 和彦 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (80166321)
嶋田 雅曉 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (70124831)
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Keywords | ビルハルツ住血吸虫症 / 水接触行動 / 衛星画像データ / リモートセンシング / 有病率 / 性差 / ザンジバル / タンザニア |
Research Abstract |
平成15年度は,収集済みのデータの分析を進めるとともに,1)基本的属性データ収集,2)一年後の罹患状況・知識に関する調査,3)水接触行動観察調査,4)媒介貝の生態学的調査等を行い(一部進行中),データ入力の段階にある.衛星画像データは,雲量率の問題から未だ入手には至っていない. 本年度収集した基本属性データ分析の結果,対象者863人中215人は外部から所属地域を偽って来ていたことが分かった.彼らの虫卵陽性率は全体の陽性率に影響を及ぼしており,真の虫卵陽性率50.3%(男性62.6%,女性39.4%)であった.悉皆調査による人口学的調査は不可欠であると言える.虫卵陽性率は6-18歳の70.7%(男性83.3,女性58.2)を頂点として,年齢とともに低下した.自己診断が簡易診断として有効であることは他の研究同様であったが(odds ratio:13.5,p<0.001),水浴び・洗濯に感染リスク水を使うと返答した住民において陽性率が有意に高く(p<0.001),これは多変量回帰分析においても同様であった.水接触行動に関する単純な質問を加えることで,血尿が見られない陽性のケースなどにおける簡易診断の精度が高まると考えられた. 水接触場所での観察調査の結果,のべ1791回の水接触のうち94%にあたる1687回は井戸水などの安全水との接触であり,わずか6%(104回)が感染リスクのある水との接触であることが分かった.聞き取り調査の結果からも住民が感染リスクについて理解していることは明らかであったが,それが水接触行動にも大きく反映されていると言える.ただし,感染リスク水との接触の44%を占める洗濯や,家畜の世話(33%),水浴び(16%)といった水との接触面積の多い行動が全体の93%を占めており,頻度としては非常に小さいこれらの水接触行動が住血吸虫症感染の主な原因になっていると考えられた.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 門司和彦, 金田英子, 安高雄治, 嶋田雅曉: "熱帯地域におけるProspective Community Study (PCS)"日本熱帯医学会誌. 31. 125-130 (2003)
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[Publications] 嶋田雅曉, 浜田芳樹, 安高雄治, 門司和彦: "解題:熱帯感染症の疫学とモデル構築の意義"日本熱帯医学会誌. 31. 229-232 (2003)