2004 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカにおける高解像度衛星画像データの熱帯感染症研究への応用
Project/Area Number |
14406016
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
安高 雄治 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (50336187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 雅曉 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (70124831)
門司 和彦 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (80166321)
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Keywords | ビルハルツ住血吸虫症 / 高解像度衛星画像データ / リモートセンシング / 水接触行動 / 知識 / 熱帯感染症 / ザンジバル / タンザニア |
Research Abstract |
平成16年度は研究の最終年度であるため、収集済みデータの分析を中心に進め、研究の取り纏めを行った。まず、住民のKABP研究の分析結果から、住血吸虫症の感染原因に関する住民(N=537)の知識レベルは非常に高く(平均8.6±1.8/10.0)、それが安全水の利用を促進している一方で、危険であることを認識しながら感染リスク水と接触するという住民の複雑な水接触行動パタンを明らかにした。また、感染状況・知識・行動・教育・社会文化的背景等の要因の多変量解析によって、年齢の要因以外に、男性の「工具・自転車洗い(p<0.01)」や「漁撈活動(p<0.001)」、女性の「川・池での洗濯(p<0.01)」などのように頻度は低いもののリスク水と接触する時間及び体表面積の大きな水接触行動が実際の感染に非常に有意に関連していることを明らかにした。これらの結果は、直接観察の結果や、虫卵陽性率の高さや感染強度などの特徴的状況とも合致した。つまり、住血吸虫症感染防止には、感染機序等に関する教育に加え、特定の水接触行動を引き起こす原因そのものを取り除くことが不可欠であると結論づけられた。その上で、住血吸虫症のコントロール・撲滅に向けての効果的かつ実現可能な具体的提言を行った。 一方、高解像度衛星画像データの分析によって、データが高解像度であれば人の行動と直接結びつけた解析が十分に可能であり、特にこれから調査研究を始めるような未知の調査地において最もその効果を発揮することを明らかにした。例えば、1)水接触場所の発見、2)土地被覆状況、3)GIS分析への応用、4)基本属性データの推定などにおいて非常に有効であり、時間やコストを大幅に節約する可能性をもつ。しかし一方で、高解像度データを提供する衛星の特徴から、必要とする地域や時期によっては予定通りには入手できない可能性が著しく高いという問題があることを指摘した
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Research Products
(1 results)