2004 Fiscal Year Annual Research Report
現象学および生態学的心理学における知覚システムの研究
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14510002
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
小林 睦 岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (20292170)
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Keywords | ギブソン / 知覚システム / メルロ=ポンティ / 感覚モダリティ / 知覚論のタイプ / フッサール / 表象主義 / 反表象主義 |
Research Abstract |
これまでの研究の完成年度として、本年度は主に二つの作業を行なった。 まず、前年度からの継続的な研究として、(1)ギブソンによる知覚系分析とメルロ=ポンティの知覚論を取り上げ、ギブソンの知覚システム論とメルロ=ポンティの身体論の内在的関連の解明を行なった。心理学的な「恒常仮説」批判は両者に共通するものであるが、それ以外の観点からギブソンおよびメルロ=ポンティによる知覚分析の異同を探ることが課題となった。特に、ギブソンとメルロ=ポンティそれぞれの著作のうちに見られる感覚モダリティの相互連関にかんして、ギブソンにおける「知覚システム」の分析とメルロ=ポンティにおける「共感覚」や「肉(chair)」の分析とを比較検討することを試みた。その研究成果の一部は「鏡の現象-知覚システムと<肉>の概念-」として平成17年度中に発表予定である。 次に、一連の研究を総合する観点から、(2)知覚のあり方について現象学が行なった主張を、19世紀後半から20世紀に提唱された知覚論と照らし合わせ、21世紀における議論の文脈に置き直すことを行なった。そのために、知覚の本性に関する伝統的な説明の基本タイプ((1)直接的実在論、(2)間接的実在論、(3)観念論)を分類した上で、現代的な知覚論における対立軸((I)表象主義vs.反表象主義、(II)実在論vs.反実在論)の内実を確認した。こうして知覚をめぐる論理地図を描き出すことにより、現象学における知覚理解は、狭義の観念論とは異なる新たな知覚論として、知覚のシステム的なあり方を強調する特徴をもっている、という事態を確認した。その研究成果の一部は「知覚というシステム-現象学と知覚論-」(長滝祥司編『現象学と21世紀の知』(ナカニシヤ出版)第3章)として刊行された。
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Research Products
(2 results)