2004 Fiscal Year Annual Research Report
西洋古代における哲学・医学・数学・懐疑主義による仮設法使用の比較研究
Project/Area Number |
14510010
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
金山 弥平 名古屋大学, 大学院・文学研究科, 教授 (00192542)
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Keywords | 仮設 / プラトン / 知識 / 想起 / 根拠 / メノンのパラドクス / 発見 / 正当化 |
Research Abstract |
プラトン想起説と仮設法の関係を中心に研究を行ない、とくに『メノン』における想起説、仮設法、および同対話篇で示される「ラリサへの道」の譬えの意味について研究を行ない、次に示す新たな知見を得た。 1.想起説はメノンのパラドクスに対する答えとして提出されているが、パラドクス理解のためには、これまで解されてきたような「探求不可能の議論」「発見不可能の議論」という二項対立的理解では不十分であり、「探求開始不可能の議論」「探求続行不可能の議論」「発見(=探求成功)不可能の議論」の三方面から検討されるべきである。パラドクスは、いずれか一つの議論を含むものではなく、三つすべての議論を含んでいる。 2.想起説が直接の答えになっているのは、「探求続行不可能の議論」と「発見不可能の議論」である。具体的には、仮設法による探求という形で二つの議論に対する答えになっている。仮設法は、原因(根拠)の推理により真なる思いなしを縛りつけるための方法であり、そしてこの縛りつけが、プラトンによって「想起」と呼ばれているのである。 3.「ラリサへの道」の譬えは、従来、knowledge by acquaintance(直接知)として「知」を理解するプラトンの立場を示すものとみなされてきたが、むしろ、原因(根拠)を求めての探求との関連で理解されるべきである。 以上の知見は、近く「メノンのパラドクス、想起説、仮設法、ラリサへの道-対話を通してメノンを知ること-」(11.研究発表の欄に記した「メノンを知ること-メノンのパラドクスと想起説-」の増補改定論文)として発表する予定である。
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Research Products
(5 results)