2003 Fiscal Year Annual Research Report
言語カテゴリーの生成に関する現象学的、認知言語学的研究
Project/Area Number |
14510014
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
宮原 勇 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (90182039)
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Keywords | コミュニケーション / 言語カテゴリー / 関連性理論 / 言語行為 |
Research Abstract |
今年度は認知言語学でのカテゴリー生成の理論を主として文献研究の形で検討するとともに、京都大学教授山梨正明研究室での認知言語学研究会に出席し、意見交換するという形で研究を遂行した。そのような研究過程において、今年度は改めて、広義の「認知言語学」の流れに属するSperber & Wilsonの「関連性理論」の批判的検討を重点的に行った。それは、対話的言語行為においては、従来記号論で強調されているコードの存在がそこでは「コード神話」として否定されている。われわれの検討ではそのこと自体は賛成できるが、あらかじめ設定されている共通なる知識というもの無しに行われるはずの対話的言語行為では、互いの意味内容や意図を互いの想定を推測する(「推意」)ということに、意思疎通の正否がかかっている。そのメカニズムを、関連性理論では「思考経済学」的メカニズムとしてとらえている。この点に対して、われわれは重点的に批判した。その批判は、人間の行為の有する「合理性」の分類をし、対話的言語行為に固有の合理性は、経済的効率を追求するメカニズムに固有の合理性、つまり経済的合理性とは、本来違ったものであり、互いに協調しつつ合意を目指す独自のコミュニケーション的合理性であることを示した。この成果は、中部哲学会の研究大会で発表され、同会の年報に掲載され、刊行される。また、言語テキストの解釈のプロセスを解明する試みも同時に行い、その成果は『図説・現代哲学で考える<表現・テキスト・解釈>』として公表した。これは、現代哲学の最新の理論を特に解釈学理論に焦点を当てて解明するものであるが、続巻は『図説・現代哲学で考える<概念・カテゴリー・時間>』として展開し、さらにはコミュニケーション理論へと向かう研究の一環である。
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Research Products
(2 results)