2003 Fiscal Year Annual Research Report
西洋哲学史における決疑論の成立とその現代的諸問題への応用に関する基礎研究
Project/Area Number |
14510017
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤本 温 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80332097)
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Keywords | 決疑論 / 二重結果理論 / 技術者倫理教育 / 意図 / トマス・アクィナス / 科学技術倫理 / 現代倫理学 |
Research Abstract |
西洋哲学史においてあらわれた決疑論(casuistry)という手法の、現代倫理学への応用に関する基研究の一環として、平成15年度は「歴史的研究」と「現代への応用」という二つの視点から、口頭発表ならびに論文発表を行い、また、技術者倫理教育関連の調査を行った。 「歴史的研究」としては、平成14年4月に開催されたCOEプロジェクト(京都大学)の一つである『Canone規範性と多元性の歴史的諸相』の研究会において(京大中世哲学研究会と共催)、「意図と結果-Thomas Aquinas,ST,II-II,64,7-」という研究発表を行い、その内容は論文「トマス・アクィナスと二重結果理論」(『中世哲学研究VERITAS』第22号)として掲載された。同論文では、決疑論の一種である二重結果理論がトマス・アクィナスの倫理思想の中に見いだされ得るかどうかが検討されて、トマスの理論と現代の二重結果理論とは必ずしも同一視されることができないこと、及び、本来の二重結果理論が持つ視野の広さが示された。 「現代への応用」としては、平成14年7月に北海道大学において開催された『ワークショップ技術者倫理-教育実践例の紹介と今後の課題の検討-』(科学技術振興調整費による「科学技術倫理教育システムの調査研究」)において、「高等専門学校・工業系大学における技術者倫理教育」という口頭発表を行った。同発表を改稿して、技術者倫理における事例分析の手法としての決疑論の在り方について考察した論文を次年度(平成16年度)に専門雑誌に投稿予定である。また、平成14年9月にシドニー大学を訪問して、オーストラリアにおける技術者倫理教育の現状に関する調査を行ったので、次年度はその内容を日本の教育現場に紹介してゆく予定である。
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Research Products
(1 results)