2002 Fiscal Year Annual Research Report
近代科学の成立とキリスト教自然神学の生命論-エコロジーの視点から-
Project/Area Number |
14510031
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
芦名 定道 京都大学, 文学研究科, 助教授 (20201890)
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Keywords | ニュートン主義 / 自然神学 / 進化論 / 広教主義 / ボイル講義 / ベントリー / レイ / ペイリー |
Research Abstract |
平成14年度は、ニュートン主義の自然神学と19世紀のダーウィンの進化論登場に至る自然神学の展開に関して、以下のような研究が進められた。 1.キリスト教と近代科学との関係をめぐる代表的なキリスト教思想史研究を参照しつつ、ニュートン主義の自然哲学あるいは自然神学の意味を解明した。この際に、とくに、マクグラスの最近の諸研究を参照した。 2.ニュートン主義の自然神学の一次資料である「ボイル講義」(とくにベントリーとデラム)、あるいはレイの『神の英知』によって、その思想的特徴をまとめた。自然神学を展開する際に、具体的に取りあげられる科学的知識に関して、天文学的知識から生物学的知識へのシフトが見られることが確認された。 3.ダーウィンの進化論の背景となるペイリーの『自然神学』の内容を検討した。 4.以上の諸問題の背景となる、17世紀以降のイギリス教会史(国教会内部の高教会、低教会、広教主義の動向とピューリタン諸派)と科学史(地質学の発展)について、基本的な事項をまとめた。これによって、19世紀半ばまでは、宗教と科学とは基本的に調和しているとの見解が主流であったことが確認された。つまり、「宗教と科学の対立図式」は、1870年代以降に定着した見方であることがわかった。
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Research Products
(2 results)