2004 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本社会における伝統的死生観と先端医療との関係に関する宗教学的研究
Project/Area Number |
14510032
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
山崎 亮 島根大学, 教育学部, 教授 (40191275)
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Keywords | 先端医療 / 脳死・臓器移植問題 / 伝統的死生観 / 民間信仰 / 墓上施設 / 伝統的墓制 |
Research Abstract |
文献研究、実態調査の両面において、現代日本社会における伝統的死生観と先端医療との関係を宗教学の視点から検討した。 本年度は、脳死・臓器移植問題における死生観の変容を分析・検討するとともに、昨年に引き続いて壱岐島、隠岐島前・島後におけるスヤの実態調査を実施し、急速な医療テクノロジーの発展と価値観の多様化に伴って旧来の死生観が拡散していく状況下で、過去からの伝統的な葬送習俗・死生観が機能と意味を変容させながらも存続していくあり方を考察した。その成果の一端は、論文「墓上施設の現在--隠岐、対馬、壱岐におけるスヤをめぐって--」として発表している。 一方で、多様な宗教現象をとらえる宗教学的な視点の確立を目指して、現代日本社会における宗教状況の一面をデフォルメした形で顕わにしたオウム真理教を取り上げ、これに対するさまざまな分析アプローチの比較・検討を通じて、宗教現象の前提となる超越的次元に対する方法論的不可知論の立場を導き出した。その成果の一端は、論文「オウム真理教と宗教学--地下鉄サリン事件の10年後に--」として発表している。この方法論的不可知論の立場は、現代日本社会における死生観のありようをとらえる上でもきわめて有効である。 さらに、3年間にわたる研究成果を総括して報告書を作成した。章立てとしては、「はしがき」、「序論--宗教学の視点--」、第1章「日本社会における脳死・臓器移植問題の移り行き」、第2章「脳死・臓器移植問題の始点--和田移植前後の新聞記事を手がかりに--」、第3章「墓上施設の現在--隠岐、対馬、壱岐におけるスヤをめぐって--」という構成になっている。
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Research Products
(2 results)