2004 Fiscal Year Annual Research Report
エリアーデ宗教学の形成前史に関する基礎的研究-戦間期ルーマニアにおける言論活動を中心に
Project/Area Number |
14510035
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
奥山 倫明 南山大学, 人文学部, 助教授 (30308928)
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Keywords | シャーマニズム / 宇宙論 / 象徴論 / 芸術論 / 文学論 |
Research Abstract |
エリアーデ宗教学の形成前史において重要な意義を持つ研究対象は、1930年代の諸論考に見られるように、ヨーガ、錬金術、ルーマニア・フォークロア等が挙げられる。それらに関する研究を進展する中で、彼の宗教学理論が徐々に形成されていった。その間、もう一つ、重要な研究対象として浮上してきたのがシャーマニズムである。 エリアーデのシャーマニズム研究は、やがて大著『シャーマニズム-古代的エクスタシー技術』(1951)として結実する。彼の研究をシャーマニズム研究の研究史上に位置づける必要がありながら、その試みは、管見ではあまり見当たらないようであり、機会があって私自身が小論の形でまとめることになった。すなわち、上掲書の文庫化に合わせて、収録される解説論文として「エリアーデ以前・以後-『シャーマニズム』再読のために-」をまとめ、1930年代のシャーマニズム論、エリアーデのシャーマニズム論、そして堀一郎のシャーマニズム論を瞥見した。 また、エリアーデ宗教学の形成前史においては、のちに彼の宗教学の理論展開の中で重要な位置を占めることになる宇宙論と象徴論(さらには象徴論的宇宙論)が、同じく重要な主題として浮上してくる。それは彼独自のシャーマニズム研究にも反映されている。エリアーデ宗教学の形成前史において執筆された数篇の論文を含む、彼の象徴論、芸術論、文学論を編集した論文集、ダイアン・アポストロス=カッパドナ編『シンボリズム、聖なるもの、芸術』(原著クロスロード、1986年)を翻訳する機会を得ることになり、2005年中に刊行の見込みである。同訳書中に、エリアーデの象徴論、芸術論、文学論について、解説論文を収録することになっている。
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Research Products
(2 results)